君色に染まる恋
「ごめっ……そう言うんじゃないの…!」
「でも、俺のせいなんだろ……?」
「ううん、違う、違うよ。私が勝手に泣いてるだけなの…」
首を振る私を見て少し安心した様子の明は、急に真剣な顔をする。
その真剣な顔に、瞳に、また心を奪われてしまった。
「なぁ、紅」
「な、に……」
「初めて紅と会った日からずっと、紅しか見えねぇ…」
「――っ、」
「俺と、付き合って」
明の言葉が嬉しくて。だけど、夢なんじゃないかと思うくらい不安で。
「どう…して、私を……?」
何も取り柄なんてない。名前負けしてる。いつもいつも自分に自信がなくて――。
だから、ちゃんと聞かせて欲しい…。
「――……俺と初めてあった日、覚えてる?」
明と初めてあった日。
それは私が明を好きだと思ったあの日。
屋上で初めて話したあの日より、もう少し前のこと――。