君色に染まる恋
そう、あれは入学式の翌日だった――。
入学式当日から名前をからかわれた私は、憂鬱なこれからの高校生活にため息をついていた。
だけどどこの高校もきっと同じ。
女子高にしたって何も変わらない。
寧ろもっと今より酷くなるのかもしれない。
そんな事を考えながら高校までの道を静かに歩く。
家から高校までの距離はそんなにないにも関わらず、あまりの憂鬱さに遠回りをした。
知らない道に迷い込めば、少しは違う景色に出会えるのかな……なんて思ったから。
そして私は見つけた。
道の両脇に咲く、満開の桜の木を。
「―――…っ!」
息を呑むって言葉がピッタリで、言葉を失った私はそこから動けなくなった。
迷い込んだ先には、本当に違う景色があって。
私の悩みも、からかってくる人たちの言葉も、全部どうでもよくなる。
「「綺麗……」」
そして私は、君に、明に出会った。