君色に染まる恋
満開の桜の下で瞳を輝かしてる少年は、桜のように綺麗だと思った。
同じように目を奪われ、私の心を一瞬にして連れ去って行く。
「……すげぇな、桜」
「えっ。…あ、うん……」
話しかけられたことに驚きながら、慌てて男の子から視線を反らす。
――男の子に見惚れるなんて…。
チラリと盗み見たつもりが、目が合ってしまった。
「「っ! ごめっ!」」
「……」
「……」
「ふっ」
「ははっ!」
どちらからともなく吹き出し、迷い込んだ道に消えていく。
「あっ、時間…!」
「うおっ、やべっ! じゃあな!」
「え、あ…うん!」
そう言って走っていく彼の後ろ姿を私はずっと眺めてたんだ…。