泡沫に沈み、揺らぐ夢
(…………なんで、そんな顔を……)
光の輪郭にぼやける人々は悲しい顔のまま何かを語る。
(……)
辺りは見渡す限りの暗闇で、微かな気泡と橙の光、淡青色の物体だけが空間を支配する。
不意に桃色の泡が上から降ってきた。
その桃色の泡には沢山の人の笑顔が写っていた。
(……笑顔、だ)
橙とは対称的な人々の表情に苦しいものを感じる。
言い様のない苦しさはやがて淡青色の固まりにひとつの情景を彷彿させた。
(…………これは……この人々は……)
柔和に歪めた目元を此方に向け、ただたおやかに微笑む桃色は皆一様に口を閉じている。
(………………そうか)
淡青色は、自分の現状の全てを理解した。