Way to happiness
琥太郎は紗都の前に静かにお酒を置く
一気に飲み干す
空のグラスを下げると、無言で新しいお酒が出てくる
無言でそのやり取りが何回続いただろう…
「ねぇ…何も聞かないけど…呑み過ぎは良くないよ?」
「大丈夫…今日だけ・・・今日だけだから・・・」
ピピピピ・・・
LINEだ・・・
李都”ママどこ?ご飯食べるよ?”
”ママちょっとお出かけしてるから先に食べてて”
ピピピピ・・・
壱弥”今どこ?俺の晩御飯は?”
・・・自分の晩御飯の心配だけ?
”冷蔵庫にある”
それだけ打つと電源を落とした・・・
「琥太郎・・・おかわり」
「はぁい」
馬鹿みたい・・・
今までなんだったんだろう・・・
自分の晩御飯の心配しかしない旦那なんて…
私のことなんて見てなかったなんて・・・
私が髪切ったってきっと気づかない・・・
・・・惚れました・・・
そうよ!こんな私だって口説かれたりするんだからっ
お世辞でも綺麗だって言われるんだからっ
私だって男の一人や二人・・・
呑みながら、ふと思う・・・
私は壱弥を男として見てたかな…
壱弥に求めるばかりで、私は壱弥の望むこととか考えてた?
私…子供達のことと仕事のことばかりで
壱弥を後回しにしてた?
浮気されても仕方ないのかな・・・
浮気…なのかな・・・
本気?・・・壱弥はあんまり器用じゃないから・・・
本気かも…
あの人と・・・
壱弥が・・・?
…二人が歩いていた姿が思い出される…
いや…
女を捨ててた私が…
もう嫌って言える立場じゃないのかも…
子供の父親ってだけじゃ・・・
子供達だってかわいそう…
違う・・・私が嫌なだけ・・・
子供達を理由にしたいだけ・・・
私まだ壱弥を…
「ねぇ・・・何も聞かないけどさ・・・今日は帰らないつもり?
ここに泊まる?」
「へ?あ・・・もうそんな時間?」
「時間はまだ大丈夫だけど、ここに泊まるんなら覚悟はしてね♪」
「なんの覚悟?」
「俺も男だから・・・紗都が目の前で寝てたら…ねぇ…そりゃ…」
「何言って…「殺すぞ・・・琥太郎・・・」
振り返ると、汗だくの壱弥がすごい勢いでカウンターの琥太郎に掴みかかる
「何?!…やめてっ壱弥!!」
「やっと来た・・・」
え?
「俺が壱弥に連絡した。速く来ないと食べちゃうよって」
来てくれたんだ…でも…
「壱弥…帰って・・・私もう少し呑んだら帰るから」
「だめだ。一緒に帰る。なんかあったのか?
何も言わずにこんな事する奴じゃないだろ。」
「私の何をわかるっていうの?他を見てる壱弥に言われたくない!!」
「なんのことだ?言わなきゃわかんねぇだろ」
・・・無言で店を出る紗都
「どこ行くんだよ!紗都!!」
腕を掴まれるが、振り払い、
「今は何も話したくない・・・壱弥はきっと悪くない・・・私の問題・・・
琥太郎に謝っておいて・・・」
壱弥を見ずに告げると
家と反対方向に歩き出した
「待てって。なんだよ、俺が他を見てるって。
他ってなんだよ。なぁ!何があったか、話してくれよ!」
再度、腕を掴まれ、抱きしめられる
「やっ・・・やめて!」
胸を押し返すが力じゃ勝てない
「他ってなんだよ…俺はお前を見てるだろ…」
「嘘…見てなかった…夕方、私を見ても気付かなかったじゃない…」
「お前……どこにいた?俺を見たのか?」
「見ちゃ悪い?隠してたんならごめんなさいね。
あんな綺麗な人とのデートだもの。隠したって目立つわよ。
あの人といる壱弥、楽しそうだった。私といる時より
楽しそ…うぅッ…ヒッ…もうやだぁ…」
涙が止まらない
力が抜けて座り込む
「違う…違うんだ…紗都…」
「何が違うのよッ!!
…壱弥…あなたは幸せじゃなかったのね…
私じゃ幸せになれなかったのね…
ごめんなさい…気付かなくて…
たるみきったおばさんはほっといて
壱弥も幸せになって…」
もうメイクなんてとっくに流れ落ちただろう
それでもいい
携帯小説みたいに
最後は綺麗に笑顔でなんて終われない
壱弥の中で最後の私がボロボロでいい
だってまだ私は…
「あの人は…違うんだ…
ちょっと頼みごとしてるだけで…]
「もういいの…
私、しばらく会社に泊まるから。
手続きが終わったら「手続きってなんだよ!」」
「紙切れ一枚じゃ終われないのよ?子供達の事や
ローンだってまだ残ってるんだから…
必要な書類が揃ったら郵送するわ。
子供達にはあの人の話はしないでね。
傷つくだけだから…じゃ…」
立ちつくす壱弥を置いて会社に向かう
会社の鍵、持ってて良かった…
明日からどうしよう…
今は何も…何も考えたくない…
一気に飲み干す
空のグラスを下げると、無言で新しいお酒が出てくる
無言でそのやり取りが何回続いただろう…
「ねぇ…何も聞かないけど…呑み過ぎは良くないよ?」
「大丈夫…今日だけ・・・今日だけだから・・・」
ピピピピ・・・
LINEだ・・・
李都”ママどこ?ご飯食べるよ?”
”ママちょっとお出かけしてるから先に食べてて”
ピピピピ・・・
壱弥”今どこ?俺の晩御飯は?”
・・・自分の晩御飯の心配だけ?
”冷蔵庫にある”
それだけ打つと電源を落とした・・・
「琥太郎・・・おかわり」
「はぁい」
馬鹿みたい・・・
今までなんだったんだろう・・・
自分の晩御飯の心配しかしない旦那なんて…
私のことなんて見てなかったなんて・・・
私が髪切ったってきっと気づかない・・・
・・・惚れました・・・
そうよ!こんな私だって口説かれたりするんだからっ
お世辞でも綺麗だって言われるんだからっ
私だって男の一人や二人・・・
呑みながら、ふと思う・・・
私は壱弥を男として見てたかな…
壱弥に求めるばかりで、私は壱弥の望むこととか考えてた?
私…子供達のことと仕事のことばかりで
壱弥を後回しにしてた?
浮気されても仕方ないのかな・・・
浮気…なのかな・・・
本気?・・・壱弥はあんまり器用じゃないから・・・
本気かも…
あの人と・・・
壱弥が・・・?
…二人が歩いていた姿が思い出される…
いや…
女を捨ててた私が…
もう嫌って言える立場じゃないのかも…
子供の父親ってだけじゃ・・・
子供達だってかわいそう…
違う・・・私が嫌なだけ・・・
子供達を理由にしたいだけ・・・
私まだ壱弥を…
「ねぇ・・・何も聞かないけどさ・・・今日は帰らないつもり?
ここに泊まる?」
「へ?あ・・・もうそんな時間?」
「時間はまだ大丈夫だけど、ここに泊まるんなら覚悟はしてね♪」
「なんの覚悟?」
「俺も男だから・・・紗都が目の前で寝てたら…ねぇ…そりゃ…」
「何言って…「殺すぞ・・・琥太郎・・・」
振り返ると、汗だくの壱弥がすごい勢いでカウンターの琥太郎に掴みかかる
「何?!…やめてっ壱弥!!」
「やっと来た・・・」
え?
「俺が壱弥に連絡した。速く来ないと食べちゃうよって」
来てくれたんだ…でも…
「壱弥…帰って・・・私もう少し呑んだら帰るから」
「だめだ。一緒に帰る。なんかあったのか?
何も言わずにこんな事する奴じゃないだろ。」
「私の何をわかるっていうの?他を見てる壱弥に言われたくない!!」
「なんのことだ?言わなきゃわかんねぇだろ」
・・・無言で店を出る紗都
「どこ行くんだよ!紗都!!」
腕を掴まれるが、振り払い、
「今は何も話したくない・・・壱弥はきっと悪くない・・・私の問題・・・
琥太郎に謝っておいて・・・」
壱弥を見ずに告げると
家と反対方向に歩き出した
「待てって。なんだよ、俺が他を見てるって。
他ってなんだよ。なぁ!何があったか、話してくれよ!」
再度、腕を掴まれ、抱きしめられる
「やっ・・・やめて!」
胸を押し返すが力じゃ勝てない
「他ってなんだよ…俺はお前を見てるだろ…」
「嘘…見てなかった…夕方、私を見ても気付かなかったじゃない…」
「お前……どこにいた?俺を見たのか?」
「見ちゃ悪い?隠してたんならごめんなさいね。
あんな綺麗な人とのデートだもの。隠したって目立つわよ。
あの人といる壱弥、楽しそうだった。私といる時より
楽しそ…うぅッ…ヒッ…もうやだぁ…」
涙が止まらない
力が抜けて座り込む
「違う…違うんだ…紗都…」
「何が違うのよッ!!
…壱弥…あなたは幸せじゃなかったのね…
私じゃ幸せになれなかったのね…
ごめんなさい…気付かなくて…
たるみきったおばさんはほっといて
壱弥も幸せになって…」
もうメイクなんてとっくに流れ落ちただろう
それでもいい
携帯小説みたいに
最後は綺麗に笑顔でなんて終われない
壱弥の中で最後の私がボロボロでいい
だってまだ私は…
「あの人は…違うんだ…
ちょっと頼みごとしてるだけで…]
「もういいの…
私、しばらく会社に泊まるから。
手続きが終わったら「手続きってなんだよ!」」
「紙切れ一枚じゃ終われないのよ?子供達の事や
ローンだってまだ残ってるんだから…
必要な書類が揃ったら郵送するわ。
子供達にはあの人の話はしないでね。
傷つくだけだから…じゃ…」
立ちつくす壱弥を置いて会社に向かう
会社の鍵、持ってて良かった…
明日からどうしよう…
今は何も…何も考えたくない…