Way to happiness
宮のカウンター席
壱弥が先に連絡してくれていたみたいで
すんなり板さんの前の席に通される
板さんの横で板さんより偉そうに立っている人が
宮のオーナーで、みんな「宮さん」と呼んでいるらしい
板さんは宮さんの息子さんで、理一君。
何年か前に店を継ぎ、宮さんは気が向いた時しか握らなくなったと
来る途中、壱弥から聞いた
「お!来たな!壱!!
相変わらずむかつくぐらい男前だな(笑)
紗都ちゃん、久しぶり!壱に泣かされてねぇか?
泣かされたらすぐ来いよ!俺が嫁に貰って・・「ごん!!」
「いってぇ!!!」と頭を抱えてしゃがみ込む宮さんの後ろには
笑顔でお盆を両手で振り下ろした美魔女、雪乃さん
「壱、紗都ちゃん、いらっしゃい♪
お任せの握りでいい?後は小鉢で何点か出すわね。
結婚記念日なんでしょ?いいわねぇ・・・私も一途に思ってくれる
旦那様とそんな結婚記念日過ごしたいもんだわ~」
「ご・・・無沙汰してます。」
「お二人とも相変わらずで(笑)」
「二人ともいいがげんにしろよ…壱さん達、困ってんだろうが…
壱さん、紗都さん、すいません、騒がしくて・・・」
理一が苦笑いしながら頭を下げる
「謝んなよ、自分の親がこんなに仲いいなんて幸せじゃねぇか。
俺、ずっと宮さん達見てて、俺も結婚したら一生仲良くしてたいなって。
本気で喧嘩ばっかりとか口もきかない親の子供なんていやだろ?」
「まぁ…そうっすけど…」
理一がちらっと宮さん達を見ると
二人は理一が何を言いたいのかわかると言わんばかりに
いそいそと持ち場に戻り、仕事をし出す
「さて、久々に握るかぁ~」と宮さんが板場に入る
理一の顔色が変わる
理一は手を休めず、ずっと宮さんの手元を見ている
親子と言えども、仕事は盗むもの・・・ってこと?
かっこいい親子だなぁ…とぽ~っとして見ていると
視界に雪乃が見えた
雪乃を見ると優しく微笑んで
壱弥達の前に小鉢を並べていく
本来この店に合う、何も言わなくても進んでいく壱弥達へのもてなしに
紗都は感動すら覚える
私なら、間が持たなくて何か場に会わない余計な事を言ってしまいそう…
私達ももう少し歳を重ねた時、こんなふうに
穏やかな雰囲気で、何も言わなくても通じ合える夫婦に
なれるだろうか…
ん~違う、私達は私達なりの形で
何も言わなくてもわかるのに、めいっぱいお喋りして
何も求めてないのに、お互いの事を思いやって
気づいたら一緒に何かしてたりして
そんな夫婦になりたいな・・・
その時はきっと孫もいて...
責任のない可愛さなんていうけど、メロメロで
壱弥と二人、溶けまくってるんだろうなぁ(笑)
...気づけば壱弥達の前には
宮さんが握った握り寿司と理一が作った飾り寿司
どちらも繊細な仕事が見てとれる
「「いただきます」」
店の雰囲気にのまれ、目の前の繊細な寿司達に
姿勢を正して食べ始める
「はぁ…紗都ちゃんは相変わらず...ね、あなた」
雪乃がため息まじりに宮さんに話しかける
「そうだな。紗都ちゃんはほんとに食べさせ甲斐がある。」
「え?」
私、がっついてる?作法を知らないと思われた?
壱弥を見ると笑ってるだけ
「紗都ちゃんが初めてここに来た時、なんて食べ方の綺麗な子なんだろうって
見とれちゃったの。それなのにおいしそうに、幸せそうに
食べるんだもの。こっちが嬉しくなっちゃった。
その夜はこの人と”うちにもあんな娘がいたらもっと楽しかったわね”って
話しながらお酒がいつもより進んだのを今でも覚えてるわ。
あれから壱は来るけど、紗都ちゃんはお腹に李都ちゃんがいたり
小都ちゃんがいたりでなかなか来てくれなかったから寂しかったのよ?」
雪乃が宮さんの相槌を見ながら話す
壱弥が
「ここに来るのは会社の飲み会とかだし、なかなか...
宮さんも雪乃さんも俺の顔見るたびに”紗都ちゃんに会いたい”って
俺は毎回、”紗都ちゃん泣かしてないか”って…親よりこえ~の(笑)
理一が修行に出てたから余計…気に掛けてもらって...」
「そうだったんだ・・・長々と来れず、すいません…
そんなふうに思ってもらってたなんて知らなくて…
ありがとうございます。
もう、李都も小都も大きくなってゆっくりできるので
また来てもいいですか?ご迷惑じゃなかったら…「迷惑なんて!
そんな訳ないじゃない!毎日でも来てほしいくらいよ!ね、あなた」
紗都が頭を下げようとすると、雪乃が嬉しそうに身を乗り出した
「おぅ!毎日でもいいぞ!壱に紗都ちゃんに李都ちゃんに小都ちゃん、
理一に真瑚ちゃんに凛たんか。
騒がしくなって楽しいな!今日は店閉めてみんなで呑むか!」
んんん?
「待って?真瑚ちゃんに凛たん?」
壱弥が聞きなれない名前にびっくりして聞く
「すいません…俺の嫁と娘です…」
理一が恥ずかしそうに答える
「「え~~~!」」
「理一、いつ結婚したんだよ!子供って!!」
宮さんが嬉しそうに
「俺は自慢したかったんだけどな?
理一が恥ずかしいからやめてくれって(笑)
俺、じぃじ♪」
「私はばぁば(笑)」
雪乃も嬉しそうに宮さんの横に立つ
「お祝いぐらいさせろよ~」
「気使わないでください。マジで恥ずかしいし…」
真っ赤な顔の理一を見て、雪乃がおもしろそうに
「壱、理一は真瑚ちゃんも凛たんも可愛すぎて人前に出したくないだけよ(笑)
真瑚ちゃんに出会った時からメロメロなんだもの。」
「あ~~マジでやめろって。」
真っ赤な顔がさらに真っ赤(笑)
宮さんが笑いながら
「昔の壱もそうだったよなぁ。紗都ちゃん連れて来いって言ったら
“絶対口説かないでくださいよ”って何回も念押されて(笑)」
「そうでしたっけ?」と恥ずかしそうに紗都を見る
「理一、真瑚ちゃんと凛たん、呼んでこいよ。
壱も李都ちゃんと小都ちゃん呼んでこい。
みんなで食べようや!理一と二人で握りまくってやる!」
「あなたは凛たんに”凛のじぃじ、かっこいい!”って言われたいだけでしょ?」
「あ、ばれたか(笑)いいから呼んでこい!」
宮さんが寿司を握りながらせかす
壱弥がスマホを出して二人にlineを送る
理一は厨房に入っていく
「李都と小都、すぐ来るって。”走っていく!”だと(笑)」
「二人ともお寿司大好きだからね(笑)」
「あ!私、李都ちゃんも小都ちゃんも初めましてだわ!
メイク直してくる!!」
雪乃が厨房に走ってく
なんだか騒がしくなりそう(笑)
壱弥が先に連絡してくれていたみたいで
すんなり板さんの前の席に通される
板さんの横で板さんより偉そうに立っている人が
宮のオーナーで、みんな「宮さん」と呼んでいるらしい
板さんは宮さんの息子さんで、理一君。
何年か前に店を継ぎ、宮さんは気が向いた時しか握らなくなったと
来る途中、壱弥から聞いた
「お!来たな!壱!!
相変わらずむかつくぐらい男前だな(笑)
紗都ちゃん、久しぶり!壱に泣かされてねぇか?
泣かされたらすぐ来いよ!俺が嫁に貰って・・「ごん!!」
「いってぇ!!!」と頭を抱えてしゃがみ込む宮さんの後ろには
笑顔でお盆を両手で振り下ろした美魔女、雪乃さん
「壱、紗都ちゃん、いらっしゃい♪
お任せの握りでいい?後は小鉢で何点か出すわね。
結婚記念日なんでしょ?いいわねぇ・・・私も一途に思ってくれる
旦那様とそんな結婚記念日過ごしたいもんだわ~」
「ご・・・無沙汰してます。」
「お二人とも相変わらずで(笑)」
「二人ともいいがげんにしろよ…壱さん達、困ってんだろうが…
壱さん、紗都さん、すいません、騒がしくて・・・」
理一が苦笑いしながら頭を下げる
「謝んなよ、自分の親がこんなに仲いいなんて幸せじゃねぇか。
俺、ずっと宮さん達見てて、俺も結婚したら一生仲良くしてたいなって。
本気で喧嘩ばっかりとか口もきかない親の子供なんていやだろ?」
「まぁ…そうっすけど…」
理一がちらっと宮さん達を見ると
二人は理一が何を言いたいのかわかると言わんばかりに
いそいそと持ち場に戻り、仕事をし出す
「さて、久々に握るかぁ~」と宮さんが板場に入る
理一の顔色が変わる
理一は手を休めず、ずっと宮さんの手元を見ている
親子と言えども、仕事は盗むもの・・・ってこと?
かっこいい親子だなぁ…とぽ~っとして見ていると
視界に雪乃が見えた
雪乃を見ると優しく微笑んで
壱弥達の前に小鉢を並べていく
本来この店に合う、何も言わなくても進んでいく壱弥達へのもてなしに
紗都は感動すら覚える
私なら、間が持たなくて何か場に会わない余計な事を言ってしまいそう…
私達ももう少し歳を重ねた時、こんなふうに
穏やかな雰囲気で、何も言わなくても通じ合える夫婦に
なれるだろうか…
ん~違う、私達は私達なりの形で
何も言わなくてもわかるのに、めいっぱいお喋りして
何も求めてないのに、お互いの事を思いやって
気づいたら一緒に何かしてたりして
そんな夫婦になりたいな・・・
その時はきっと孫もいて...
責任のない可愛さなんていうけど、メロメロで
壱弥と二人、溶けまくってるんだろうなぁ(笑)
...気づけば壱弥達の前には
宮さんが握った握り寿司と理一が作った飾り寿司
どちらも繊細な仕事が見てとれる
「「いただきます」」
店の雰囲気にのまれ、目の前の繊細な寿司達に
姿勢を正して食べ始める
「はぁ…紗都ちゃんは相変わらず...ね、あなた」
雪乃がため息まじりに宮さんに話しかける
「そうだな。紗都ちゃんはほんとに食べさせ甲斐がある。」
「え?」
私、がっついてる?作法を知らないと思われた?
壱弥を見ると笑ってるだけ
「紗都ちゃんが初めてここに来た時、なんて食べ方の綺麗な子なんだろうって
見とれちゃったの。それなのにおいしそうに、幸せそうに
食べるんだもの。こっちが嬉しくなっちゃった。
その夜はこの人と”うちにもあんな娘がいたらもっと楽しかったわね”って
話しながらお酒がいつもより進んだのを今でも覚えてるわ。
あれから壱は来るけど、紗都ちゃんはお腹に李都ちゃんがいたり
小都ちゃんがいたりでなかなか来てくれなかったから寂しかったのよ?」
雪乃が宮さんの相槌を見ながら話す
壱弥が
「ここに来るのは会社の飲み会とかだし、なかなか...
宮さんも雪乃さんも俺の顔見るたびに”紗都ちゃんに会いたい”って
俺は毎回、”紗都ちゃん泣かしてないか”って…親よりこえ~の(笑)
理一が修行に出てたから余計…気に掛けてもらって...」
「そうだったんだ・・・長々と来れず、すいません…
そんなふうに思ってもらってたなんて知らなくて…
ありがとうございます。
もう、李都も小都も大きくなってゆっくりできるので
また来てもいいですか?ご迷惑じゃなかったら…「迷惑なんて!
そんな訳ないじゃない!毎日でも来てほしいくらいよ!ね、あなた」
紗都が頭を下げようとすると、雪乃が嬉しそうに身を乗り出した
「おぅ!毎日でもいいぞ!壱に紗都ちゃんに李都ちゃんに小都ちゃん、
理一に真瑚ちゃんに凛たんか。
騒がしくなって楽しいな!今日は店閉めてみんなで呑むか!」
んんん?
「待って?真瑚ちゃんに凛たん?」
壱弥が聞きなれない名前にびっくりして聞く
「すいません…俺の嫁と娘です…」
理一が恥ずかしそうに答える
「「え~~~!」」
「理一、いつ結婚したんだよ!子供って!!」
宮さんが嬉しそうに
「俺は自慢したかったんだけどな?
理一が恥ずかしいからやめてくれって(笑)
俺、じぃじ♪」
「私はばぁば(笑)」
雪乃も嬉しそうに宮さんの横に立つ
「お祝いぐらいさせろよ~」
「気使わないでください。マジで恥ずかしいし…」
真っ赤な顔の理一を見て、雪乃がおもしろそうに
「壱、理一は真瑚ちゃんも凛たんも可愛すぎて人前に出したくないだけよ(笑)
真瑚ちゃんに出会った時からメロメロなんだもの。」
「あ~~マジでやめろって。」
真っ赤な顔がさらに真っ赤(笑)
宮さんが笑いながら
「昔の壱もそうだったよなぁ。紗都ちゃん連れて来いって言ったら
“絶対口説かないでくださいよ”って何回も念押されて(笑)」
「そうでしたっけ?」と恥ずかしそうに紗都を見る
「理一、真瑚ちゃんと凛たん、呼んでこいよ。
壱も李都ちゃんと小都ちゃん呼んでこい。
みんなで食べようや!理一と二人で握りまくってやる!」
「あなたは凛たんに”凛のじぃじ、かっこいい!”って言われたいだけでしょ?」
「あ、ばれたか(笑)いいから呼んでこい!」
宮さんが寿司を握りながらせかす
壱弥がスマホを出して二人にlineを送る
理一は厨房に入っていく
「李都と小都、すぐ来るって。”走っていく!”だと(笑)」
「二人ともお寿司大好きだからね(笑)」
「あ!私、李都ちゃんも小都ちゃんも初めましてだわ!
メイク直してくる!!」
雪乃が厨房に走ってく
なんだか騒がしくなりそう(笑)