Way to happiness
宮さんと理一も仕事を終え、みんなお腹いっぱい寿司を堪能していた

途中、暇を持て余した凛が、李都小都を引き連れ、家におもちゃを取りに行ったり
浮かれ過ぎてお酒をひっくり返した宮さんの為に、雪乃が家に着替えを取りにいったりと
騒がしかったが、やっと落ち着いてきたところ

壱弥と紗都もビールから焼酎へと杯を進め、宮さん秘蔵の日本酒を
貰い、いい気分で時間が過ぎていった

「小都…もうそろそろいいんじゃない?」
「お姉ちゃんもそう思う?真瑚さん…始める?」
「ふふっ…凛が眠くなる前に始めますか?雪乃さん」
「始めよう!二人、そこに立って!」

李都小都、真瑚がこそこそ話し

雪乃が急に壱弥と紗都を指差し、立てと促す

二人は慌てて立ち上がると
顔を見合せるが、はてなマークしか出てこない

「壱、紗都ちゃん、結婚20年おめでとう!」
「パパ、ママ、結婚記念日おめでとう!」

凜が一生懸命拍手している

「まずは、真瑚ちゃんから」

雪乃が促すと、真瑚がカウンターの隅から
可愛らしいフラワーアレンジを取り出し
凜と共に二人に差し出す

「えっ・・・」
「おめでとうございます。ちょうちょファミリーからの
お祝いです。この花全部、花言葉が「愛」なんですよ♪
末永くお幸せに♪」

「「ありがとう…ございます」」

呆気に取られる壱弥達を気にもせず進める

「次は私ね」

雪乃は厨房から薄めの箱を2つ、少し大きな箱を1つ
重ねて持って戻ってきた

箱を開けながら

「あなた、やっと渡せるわね」
「そうだな(笑)」

「これはね、あの人と私が若い頃に仕立てた物なの。
店が忙しくて1度も袖を通さずに歳を重ねてしまって(笑)
本当は壱達が結婚10年の記念に渡そうって話してたんだけど、
子育てや仕事で二人は忙しくなっちゃったから渡せずにいたのよ。
貰ってくれるかしら?」

箱の中には男女の浴衣、帯、下駄が入っていた

紗都は泣きながら

「そんな前から…でもこんな大事な…こんな素敵な物…頂けません…」

「紗都ちゃん達がいらないなら捨てるだけよ?ね、あなた」

「理一達は浴衣の季節は大忙しで着てる暇なんかないし、捨てるだけだな」

「そんな…捨てるなんて…「頂こう?紗都」」
壱弥を見ると、壱弥も涙を堪えてるのがわかる

「「ありがとうございます。大切にします。」」

宮さん達も微笑み合いながら「良かった」


「さて、ラスト、李都ちゃん、小都ちゃん、準備はいい?」

雪乃が李都小都を見ると、二人はニヤニヤしながら

「パパ、ママ、結婚記念日おめでとう!」

大小様々な箱をテーブルに並べていく

「何?何?どうしたの?これ!」

李都が

「さっき、みんな外行ったりしてたでしょ?
その時こっそり家から持ってきた(笑)
小都、始めて♪」

「はぁい♪まず~ママの実家からはこれで~」

小都が箱を開ける

中には桜が描かれた夫婦茶碗と皿

「こっちはパパの実家~」

李都が箱を開ける

桜の彫刻が入ったお揃いのお椀と箸

「全部手作り!」

「そして、そして~!」

二人で一つの箱を開ける

そこには4人分のパジャマが入っていた

「え?え?これはどういうこと?」

李都が

「まずはママのおじいちゃんおばあちゃんから伝言ね?

”結婚記念日おめでとう。壱弥君の妻として、李都小都の母親として
よく頑張ってると思ってるから、これからも頑張りなさい。
壱弥君、紗都と可愛い孫を頼みます。”だって。」

小都が

「次はパパのじぃじとばぁばからね。

”結婚記念日おめでとう。壱弥、紗都さんと子供達をあなたらしく
幸せにしなさい。紗都さん、私達の娘になってくれてありがとう。
可愛い孫まで産み育ててくれて、私達は今でもあなた達のおかげで本当に幸せです。
これからもあなた達の幸せを祈っています”って」

二人がカードを重ねて壱弥に渡す

「そして、これは小都と二人で作ったパジャマなの。
これからみんな忙しくなったりして顔を合わせなくなっても
気持ちは一緒にいたいなって。

これがパパので、これがママの。
これが李都ので、これが小都の。

みんな同じ柄で4色展開してる物探すの大変だった~(笑)

小都と二人で内緒で作るのも大変だったけど

パパとママが大好きだから、頑張ったんだよね?小都」


李都小都が各自にパジャマを渡す

小都が、

「ママ、泣きすぎ(笑)でもね、初めてママに
隠し事とかしたからちょっと嫌な気分だった…
ごめんね?ママ」

李都も

「私も…ママが喜ぶってわかってても嫌な気分だった
ごめんね?ママ」

「小都・・・李都・・・ありがとう…
二人がそんなふうに思ってくれてママ嬉しいよ?
隠し事は気持ちいいものじゃないね。
でも、隠し事した相手がそれで幸せなら、そういう正解もあるんじゃないかな。
謝らなくていいよ。ママ、二人の隠し事で凄く幸せになれたから。ありがとう…ありがとうね」

泣きながらも二人に思いを伝える

壱弥が

「パパが頼んだんだ・・・ごめん…嫌な思いさせた。
二人の気持ちに気づかなかった。ごめん…」

李都小都が慌てて

「パパ、謝らないで!私達、パパが作戦を教えてくれて
嬉しかったよ。私達もママに喜んで欲しかったから
頑張れたんだよ。」

「二人とも・・・ありがとう・・・」

壱弥も静かに泣いていた…

壱弥と出会った20年以上前・・・
何十年先も一緒にいると思ってはいたけど
なんの保証もない

10年目の記念日は二人で外食したくらいで
さらっとしたものだった

自分から10年目は余裕ないと言ったものの
少し寂しかった・・・

李都が小学生、小都は保育園で、忙しかったのは確か。
母親としてちゃんとしなきゃって、無駄に熱かった

でも・・・妻として壱弥と向き合ってなかった
わかってくれてるって勝手に思ってたんだ・・・

やっぱり20年目で良かったんだ

こんなに幸せだって、この先ずっと幸せだって
気づけた

最高の家族に最高の友達、最高の夫

これからもこの人達のために頑張ろう

そしてもっともっと幸せになろう

最愛を見つけた私はきっと強いはず
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