たいせつなもの
目を開けるとそこには新しい高校生活が待ち受けていたのではなく、今までと何ら変わりない風景。
ガラッ
「起きたか?
もう苦しくないか?」
心配する先生をみると申し訳ない気持ちと自分に対してイライラする気持ちでいっぱいになった。
「は、はい…
大丈夫です。」
素っ気なく返し、窓の外を見ようとしたら、もう暗くなっていて窓に反射して素っ気ない顔をした自分が映った。
「大丈夫そうには見えないけどなー?
明日香ちゃん、目が覚めるまで待ってる言ってたけど遅くなるからって帰ってもらったよ。
また来るって。
結衣…
ちょっとだけ学校お休みしよ?
始まったばっかりなのにわるい。
すぐ治して早く行けるように頑張ろ?」
すぐっていつ?
すぐっていってもう16歳だよ?
治らないことぐらいわかってるくせに。
そんな思いでいっぱいになる。
「わかってる。」
今の私はそう返すので精一杯だった。
「もう寝な?」
その言葉で、さっきまで寝てたくせに私はすぐに眠りにおちた。
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