Last present ~夢を繋いで~ ※Episode2&3追加5.30


「奏音、はい着いたわよ。

 奏音が今日から通う大田音楽教室」



鍵盤のマークに大田音楽教室っと文字が入ったロゴの看板が
私たちを迎えてくれる。


ちゃんと手を握りしめてドキドキに耐えながら
私はお母さんと一緒に教室の門を叩いた。




「いらっしゃい。
 こんにちは」


受付の女の人がにこやかに笑いながら
声をかけてくれる。


個人の音楽教室なのに、
何?


このお教室、結構大きいの?



受付の奥には4つくらいの部屋があって
更に二階に続く階段がある。


その隣には、エレクトーンのデーターを購入する端末があって
楽譜がズラズラっと本棚いっぱいに並んでる。



キョロキョロと見渡す私を
お母さんが、「こらっ」っと小さく窘める。




「今日からこちらでお世話になります、
 松峰です。こちらが娘の奏音です」



お母さんが受付で話すと受付の女の人は、
にっこりと笑って話しかけてくる。


「奏音ちゃん、今日からお稽古頑張りましょうね。
 では、こちらで当教室の説明をさせて頂きます。

 後ほど責任者の大田が顔を出すと思います。
 今、Sクラスの指導中なので暫くお待ちくださいね」



そう言ってとなりのソファーに案内された私は、
お母さんと一緒に、教室の入会説明書を記入。


月謝12000円もしてるっ。


前のお教室は8000円だったのに。



そんなことを考えながら、
お姉さんの説明をお母さんと一緒に聞いていく。

だけど私的には、もう教室のことが気になって仕方なくて
ソファに座りながらも、視線だけは壁に飾られたいろいろと表彰状やトロフィー
生徒さんと思われる人のコンクールの写真を追いかけていた。


その飾られた写真の中……、信じられない写真を見つける。

……ふみや……くん?


ふいに重たい重たい扉が開く音聞こえて、視線を向けると
中から教室の生徒が出て来て、受付の前を通過していく。


私たちの対応をしていた受付のお姉さんは、
お母さんと私に軽く会釈してソファーから立ち上がると
次々と教室の生徒を見送っていく。



「お疲れ様。
 ちゃんと気を付けて帰るのよ」

「はぁい。
 美佳先生、さようなら」



そう言いながら受付のお姉さんは生徒たちを見送る。


……美佳先生……って言うんだ。
受付のお姉さん。



「大田先生、今日から入学希望の松峰さんがいらっしゃいました」

「美佳サンキュー今行くよ。
 史也、今から少し俺に付き合え」



そんな声が聞こえて、教室から姿を見せた長身の二人組。


受付のお姉さんが先生っと呼んだ人が、
思わず呟いた名前に思わずその少年の方を見つめる。




えっ?

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