Last present ~夢を繋いで~ ※Episode2&3追加5.30
「ご無沙汰しています」
美佳先生の声を受けて、私は挨拶を返す。
何時の間にか私の周囲には、
小さな子供たちが集まってくる。
「奏音って、あの奏音さん?」
「でしょー、秋弦先生いっつも言ってたもん。
奏音の顔がエレクトーンのご本にのるたびに
『よく見とけよ。コイツは、俺の女になる奴だからな』って。
嘘だーって思ってたけど本当に来た」
ってアンタ、子供たちに何吹き込んでんのよ。
でも……待って?
えっ、秋弦先生って何?
今、この子たち似合わなすぎること言った気がする。
戸惑ってる私に美佳先生は、「秋弦先生にお客様ですって、呼んできて」っと
ゆっくりと子供たちに促した。
「音大を卒業した後、秋弦君、この学校の先生として働いてくれてるの。
奏音ちゃんも誠記君も巣立ってしまって、
この教室を盛り上げてくれる人が皆居なくなっちゃったって思ってたんだけど
秋弦君だけが帰ってきてくれたの。
あの後、秋弦何回もコンクール挑戦して大学2年の時だったかしら?
見事にグランプリに輝いたのよ」
そう言って、美佳先生は
私が知らないアイツの時間を教えてくれた。
ふいにレッスン室のドアが開く。
男っぽくなったアイツが
私の前に姿を見せる。
「よっ、奏音。
呼び出して悪かった。
活躍してるみたいじゃねぇか?」
「ねぇかって、知らないの?」
「知らないわけねぇだろ。
俺はお前のなんでも知ってるからな」
「何それ?
秋弦、アンタストーカーくさいから。
その台詞」
久しぶりに再会したのに、
10年って言う年月を考えさせないで
私たちは、あの頃の様にじゃれあってた。
「なぁ、そろそろ一人旅終わらせて
俺のところに帰って来いよ」
ふいに秋弦が真剣な顔して告げる。
はしゃいでた子供たちも
シーンと静まり返って
私たち二人へと視線が集まる。
「あぁ、秋弦先生が告白してるー。
彼女だって言ってたのに嘘じゃん」
そうやって騒ぎたす子供たち。
困ったような顔をする秋弦。
仕方ない……助けてやるか……。
昔からの腐れ縁の幼馴染。