silver wattle.゚・*.
「ねぇ、サク。」
花火を買うため、私とサクはコンビニへ向かった。
サクの横を歩きながら、苺花に本当のことを話したこと、サクに対する今まで感謝、本当に秋弥が好きだったこと、色んなことを話した
それから、今日ある決断をした事も…。
…皆と気まずくなるくらいなら、こんなに辛い想いするくらいなら、ってずっと思ってた。
「…私、先生と別れるわ。」
私がそんな事言うものだから、サクは驚いてその場で足を止めた。
「そしたらこんな辛い想いしなくて済むでしょ?」
私は、またいつもみたいに笑って言うつもりだったのに、なんだか胸が空っぽになった気がして涙がつーっと頬を伝った。
「千代…。」
…………!
その時私は、あまりにも突然のことで言葉を失った。
サクは私の名前を呼んで、優しく抱きしめ、
「俺は千代が好きだ。」
そう言った。
最初はいつもみたいに冗談で言ってるだろうなんてと思った。
でも、肩に触れるサクの手があまりにも優しくて、どうしても冗談に思えなかった。
サクが自分を好きになってくれて、サクが私を幼なじみ以上に思ってくれて、本当に嬉しかった。
どうせ、秋弥との恋も叶わないなら…。
そう思った。
そして、少しずつサクの顔が近づいてきて、私はゆっくり目を閉じた。
すぐ近くにサクの吐息を感じる。
"唇が重なる"
そう思った時、サクは私の体を突き放した。
何が起きたのか分からなかった。
でも、分からなかったのは私だけじゃないみたい。
突き放したサクは驚いたように自分の手を見つめていた。
「…どうしたの?」
「…分かんない。けど、千代にキスしようって思った時、なんでか苺花の顔が浮かんだんだ。」
サクにそう言われた時、何かが胸にストンと落ちた。
あぁ、やっぱりサクは…。
逃げるためにサクにキスをしようとした、そんな自分がなんだか可笑しくて、ふっと笑いが込み上げた。
「所詮私達は幼なじみ。それ以上にもそれ以下にもなれないのよ。」
そう言うと、サクは不思議そうに私を見つめた。
「久々に肩車してよ!」
これ以上、サクと苺花の邪魔をしちゃいけない。
私はそう思い、サクの前でにっと笑った。
それからはいつも通り、馬鹿な話をして、笑いあってた。
そして
「私もサクが大好きよ。」
と私がふざけて言うと、サクは嬉しそうに笑った。