silver wattle.゚・*.
買い物が終わり、キャンプ場へ戻るとそこに苺花はいなかった。
「あれ?…苺花は?」
どこを見渡しても苺花の姿が見当たらない。
「苺花なら、体調が悪そうだったんで、俺の車で家まで遅らせることにした。」
泉舞のその言葉が信じられなかった。
コンビニに行く前まではそんな素振り見せなかったのに…。
ふと、さっきの苺花の悲しそうな顔が頭に浮かんだ。
…サクと2人で買い物に行ったから?
いや、苺花はそのくらいで嫌な顔をする子じゃない。
苺花は私の暗い過去だって、受け止めてくれた優しい子。
そんな苺花がそのくらいで黙って家に帰ってしまうとは到底思えない。
少し考えると、コンビニに行く前、サクが苺花に何かを話していたことを思い出した。
「…サク、苺花に何か言った?」
私がサクにそう言うと、サクは少し焦った様子で
「いや…そんな大したことは…。」
と言葉を濁らせた。
…サクじゃないの…?
それ以外思い浮かばなかった。
多分だけど、苺花はサクが好き。
サクは鈍感だから苺花の気持ちには気づいてなさそう。
それが原因で何かすれ違いが…?
考えても考えても分からない。
「…どうせ千代に告白するとか言ったんだろ?」
ぼそっと泉舞が不機嫌そうな顔で言った。
するとサクの顔は一気に真っ赤に染まった。
その瞬間、サクに対して怒りがこみ上げてきた。
「なんでそんなこと言ったのよ!苺花が傷つくに決まってるでしょ!!…だって苺花は…!」
だって苺花はサクを好きなのよ…。
でも、その言葉を私が言うわけにはいかない。
そう思うと、次の言葉が出てこなかった。
「だってなんだよ…?」
サクは不満気に私を見た。
…そうよ。私もサクも自分の気持ちをはっきりさせないから…だから、苺花は…。
私はサクの肩を勢いよくつかみ、
「…私もサクも、自分の気持ちをはっきりさせないと!!」
と言った。