silver wattle.゚・*.
「…はぁ。」
家に着くと、一気に脱力感に襲われ、深い溜息が出た。
苺花のためとは言っても思いっきりすぎたかしら…。
秋弥にしっかり振られてくる…なんて私のメンタルがもつ気がしない。
…どうしよ…。
コンコン
「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」
ドアの隙間からふみが顔をのぞかせた。
「いいわよ。…こんな時間にどうしたの?」
家に着いたのは夜の22時。
いつもこの時間にはふみはお父様の手伝いをしていたはず。
「…実は今日のお昼過ぎ、京極様がいらっしゃったのですが。」
「え!秋弥が来たの?!」
驚きのあまり前のめりになった私を
「お嬢様、話はきちっと最後まで聞いてください。」
となだめた。
そして、驚くと人の話を遮って話を最後まで聞かないのが、小さい頃からの悪い癖だとふみは言った。
「京極様から伝言がございます。」
…伝言。
別れよとか、婚約者との結婚が決まったとか?
悪いことばかりが頭をめぐる。
「千代子お嬢様にお話があるため、明日の午後1時に家にいて欲しい。もし俺に会いたくないなら逃げてもいい。とのことでした。」
「そう…。」
会いたくないなら逃げてもいい…。
本当なら逃げたい。
でも、逃げても変わらない。
秋弥から話をしたいって言ってくれてるんだ。
今逃げたら、もう話せなくなる気がした。
「…私、明日はずっと家にいるわ。」
「…それでよろしいのですね?」
ふみは私を試すようにもう1度聞いてきた。
「えぇ。…話はそれだけかしら?」
私がそう言うと
「かしこまりました。…何かあればいつでも頼ってください。」
とふみは今までにないくらい、優しく微笑んで、部屋を出ていった。
苺花にサク、泉舞、ふみ、その他にも沢山、私を支えてくれる人がいる。
秋弥が私から離れていくのは本当に胸が痛い。
でも、このまま悩んでたら支えてくれてる皆に心配をかける。
そんなのは嫌だから…だから、秋弥としっかり話さなきゃ…!
その日の夜は、緊張してなかなか眠ることが出来なかった。