二重人格シンデレラ
この感情をなんと呼ぶのかは分からない
ただその時はこの時間が永遠に続いてほしい
そう思ってたから
踊り疲れて私達はバルコニーに出た
「こういう場はどうも苦手だ。」
「私もです。」
そう言うと意外だったらしくウィル様は目を丸くした
そして、何度か呟きを繰り返すと口元に笑みが浮かべる
初めて見る気の抜けた笑顔に心臓がうるさく鳴り出す
「ウィル様?」
「どうした?」
「どこか嬉しそうです」
「それはシンデレラ、君もじゃないのか?」
「そうですね。」
そう言って私が空を見上げるとウィル様も空を見上げた
私は思わずぽつりと呟く
「私、ウィル様と初めて会った気がしないんです。」
「え..?」
「会ったこともないのに、不思議ですよね。」
「...僕も同じことを思ってたんだ。」
驚いてウィル様を見る
ウィル様はまだ、空を見上げていた
胸が騒ぎ出す
ウィル様に抱いた感情は熱を帯び、やがて私の心を侵食していく
そして、気付いたこの感情
同時に、突き付けられる現実
恋した相手を殺さなければいけないという現実を