先生と乙女座の恋★~秘密の恋事情~
初めに戻ってしまえばラクなのに…
忘れてしまえば
消えてしまえば
時間が戻れば…
こんな想いしなくて済んだのに
こんなことになるぐらいなら
全て
始まらなければよかった…―――
出てくるのは、後悔の言葉ばかり。
苦しくて、声にならない想いが心で悲鳴を上げて叫びだす。
「これ…返さなきゃ……」
手元にある紙袋に手を伸ばす。
先生は
私にこの服を貸したこと…
覚えてるかな…
夜一人でいた私を家によんだこと
まだ覚えてるかな…
私は袋を胸に寄せ袋ごと抱きしめた。
先生…
頭を過(ヨ)ぎるのは
先生の顔ばかり……
忘れたくても忘れられない日々が
今となっても頭から消えることがない。
…………っ、
私、いつからこんなに
泣き虫になったんだろう………
シワがついてしまうぐらい、手に力が入り袋が歪んでしまう。
それでもなんとか上を向き、流れそうになる涙を必死にくい止めようとする。