先生と乙女座の恋★~秘密の恋事情~
戸を叩こうとする手が震え、どうしても躊躇ってしまう。
手を出しては 戻して
さっきからそれの繰り返し。
それでも意を決して
―コン…コン……
控えめに戸を叩いた。
『―どうぞー』
―!!
中から聞こえた 先生の壁ごしの声
胸が高鳴る…
「…櫻井ですっ。」
少し裏返った声が廊下に響く
『櫻井…さん?』
だんだんと近づいてくる先生の足音
―ガチャ…
という音とともに戸が開き、先生が現れた。
『…櫻井さん……、…どうかしましたか?』
困惑ぎみだった先生の表情が、まるでごまかすように笑顔をつくる。
―ズキ…
それが分かったから
なぜか…悲しい
ゴメンなさい…先生…
「ちょっとお話があって、入ってもいいですか?」
私は顔に笑みを浮かべながら、先生の表情をうかがった。
こんな表情をさせているのは私なのに…
なんでこんなに苦しいんだろ……
私は先生を困らせてるだけなのに…