先生と乙女座の恋★~秘密の恋事情~
『あはは、物欲しさに言ったんじゃありませんよ
…―アナタを見て思ったから言ったんです』
「っ!」
自分の言葉に照れの一つもなく、先生はまた一口 コーヒーを口に入れた。
……なんでこの人は、サラっとこんな台詞言えちゃうんだろ…ιι
私は顔から手を外し、先生の方を向いた。
……―はぁ~
やっぱり この人はよく分からん、
小さなため息と共に眉を下げる。
さっきまでの顔の熱さもいつの間にか普通の温度へと引いていった…
―――
それからの私達は軽く話しをし穏やかな時間を過ごした。
それが楽しくて、時間を忘れてしまっていた…
楽しい時間はあっという間……これって本当だと思う
チャイムが鳴って教室に戻るのが心寂しくなった…。
準備室から出るのに躊躇ってしまう。
だからこそ、何度も先生の方を見ては逸らして 見ては逸らして と、繰り返していた。
それでもしかたないことだから…
私は渋々準備室の外に出て“失礼しました”と、軽く頭を下げ教室へと足を進めた……―
すると、
『またヒマな時にでも、どうぞ』
えっ――
私は後ろを振り返る。
閉まりかけのドアから先生の顔が遠くで見えた。
左右に小さく振られる手と共に…―
「……………、」
顔が少し緩む、
私はまた顔に手をあてながら
その場を 後にした―――――