美しい鏡


それから私は鏡に頼りきりになった。

ねぇねぇ今日のご飯は?

美樹さんの好きなチキンカレーです。

明日のテストどこ出る?

45ページから60ページの練習3.4番と
ワークの25ページの5番と┈┈┈。

もう私は勉強もあまりしなくなった

だってもう私には鏡がついている。

そこだけやればいいし。

その他にも恋愛だって

ねぇ雄二くんが好きな服のタイプは?
  
   清楚系です。

雄二くん私のこと好き?

   好きかどうかは悩んでいる様子

雄二くん何が好き?

フォンダンショコラです。

もうすぐ好きになると思いますよ。   

あなたの事。

本当に?雄二くんは私のこと好きになるの?

はい。

『ふふっ!!ふふっ!!』

こんなに全部思い通りになるとは思わなかった。


今日は親と妹が旅行に行っている日のこと

私はこの鏡がない生活がありえなくって

いつだって真実を求めたくて、

いくら聞いてももの足りなかったからだ。

でもそんな夜のことだった。

「ーーー!」「ーーー!!」「ーーー!!」

どこからか声がする。誰だろう。

いや誰もいないんだ。

パソコンでもつけっぱなしにしてたかと確認したけどついてなくって。

テレビも確認したけどやっぱりついてなくって。

疲れているのかなと思い寝ようとした時。

「ーーー!」 とあの鏡のとこから聞こえた。

いつもの声とは全然違っていて、さらに怒っているような声も混ざっている。

いつもは女性の様な高い声でとても丁寧に話してくれる声とは違って鏡には沢山のボタンがついていて

声も変えれるようになっていたから 

てっきりボタンを間違えたそう思った。

『やっと起きた』

「え?鏡どうしたの?」

ボタンはいつもと一緒なのになんで声が変わるのか不思議に思ったけど

いつものように話した

『ねぇ私のことをどう思ってる?』

鏡がそう聞いてきた。

「好きだよ? 友達みたいな。」

鏡はてっきり急に寂しくなったのかと
思って伝えた。

『………嘘つき』

「え?嘘なんてついてないけど」

『美樹さん知ってるよね?

私は真実の鏡なんだよ!

美樹さんは私のことを便利な道具としか思ってないはずよ?!

 まあ、、いいわ

貴方の、プロフィールを教えて?』

20♠♠年 

好きな食べ物はローストビーフ

はまってるものはネットショッピング

すきなものは ま○め○









これは夢か現実か分からなかったから
ほっぺたをつねったけど痛くて現実だとわかった。

そして、私はパニックに陥った。



鏡はいつもごく自然に私を写しだしていたけどその日は違った。

不気味な笑顔が写っていた。

そんな笑顔が気持ち悪くて怖くて必死に逃げた。

「ひっっ!!!」

後ろをみると鏡が動いているようにみえる。

いや飛んでいる。

『答えろよぉ!!!聞いてんだろうが!!』

「ひっ!!嫌………」
 

私はそんな恐怖から家にあったバットを 出して思いっきり振りかざした。

“バッリーン!”

見事命中。

「お、終わった?」

でもどの鏡からも見えてくるようになってしまったのだ。


   



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