君に届けた春風
奈津は自宅に戻り、机に向かう。
気を紛らわすために勉強し始めた。
翌朝ーー
奈津は1人教室に入る
まだ数人しか来ていない。
奈津は席に座り携帯を出し、あの時の虹の写メを見ていた。と同時に高屋と出会った時の事を思い出していた。
高屋「あ。それ写メ撮ってたんだ」
真横にいた高屋に気付きドキッとし慌てて携帯を隠す
高屋「おはよ。今日は早いね」
奈津に優しく微笑む
奈津「うん。なんか早く来ちゃった。高屋も早いじゃん」目を合わせずに苦笑いをする。
高屋「あ〜。今日朝一でレポート出さなきゃいけなくてさ。今出してきたんだ。」
カバンから教科書やノートを机の中にしまっている。
高屋「昨日の。どうだった?」
奈津「よかったよ。すごいね。皆感動してた」
高屋「おまえは?水月は…どう思った?」
アゴに手を当て肘をついて奈津を見ている。
奈津「え…。」高屋を見てすぐ顔を反らした。
沈黙になった中。あかねと長谷部が教室に入ってきた。
2人ともいつもの調子で挨拶と会話をしていた。
奈津はあかねの話が入ってこず苦笑いしかできなかった。
そのまま、奈津はあまり高屋と会話することなく1日を終えた。
放課後。
奈津はあかねと一緒に下駄箱にいた。
奈津はカバンの中を見る。数学のノートが入ってない事に気付く。
奈津「あ…ごめん!忘れ物しちゃった。先帰ってて」と教室に戻る
あかね「うん。じゃあね〜」
廊下にあかねの声が響く
奈津は教室に着き自分の机の中を覗く。ノートを見つけ手に取る
ふと高屋の席を見る。高屋の机を手でなぞる。
高屋「何してんの?」教室に入って奈津の元に行く
奈津は慌てて高屋の席から離れ顔を反らす
奈津「ちょっと。忘れ物しちゃって」
高屋「俺の席に?」
真顔で奈津の顔を覗き込む
奈津は目を反らし「いや…」動揺して言葉が出なかった。
高屋は微笑む。
高屋「一緒に帰ろう?駅まで」
奈津「わたしと…?」戸惑いながら聞いた。
高屋「他に誰がいんの?行くよ」
奈津にサッと背を向け教室から出て行く
奈津は高屋を慌てて追いかける
奈津は高屋と大した話もできず。駅に着いた
改札を通ったとこで高屋は奈津と向かい合う。
奈津は高屋の目を見れず俯いたままだ。
高屋「水月。俺はおまえが好きだ!俺の彼女として付き合ってくんないかな…」
奈津は、戸惑い高屋の顔をまともに見る事ができなかった。
高屋「返事は今じゃなくていい。出来る時まで待ってるから」そう言った後、奈津に背を向けホームへと降りて行った。
奈津はドキドキしたまま電車に乗り帰宅した。
頭はボーっとしたままだった。