君に届けた春風
秘密
翌朝、奈津は学校に行く。
教室で女子も男子もそれぞれ固まって談話している。
「奈津ぅ〜おはよ」
いつもの明るさであかねが来た。
「おはよ」
奈津も笑顔で言った。
「キャ〜。高屋く〜ん」
(高屋だ。普通に。いつも通り、いつも通り)
奈津はそう自分に言い聞かせていた。
長谷部と高屋が奈津とあかねの側に来た
あかね「おっはよー!長谷部。高屋」
長谷部「はよー」
高屋「うっす」
高屋「おはよ。水月」
奈津を見て笑顔で言った。
奈津「お…はよ…」
高屋を見て言った。
奈津(なんか。変な感じ。昨日の事はなかった事みたいになってる。やっぱり、あれは演技だったんだ。ホントに恋人のフリをしただけだったのかな)
あかね「奈津?どした?」
奈津の顔を不思議そうに覗き込む
奈津「ん?なんでもないよ」
慌てて羽生らかした。
恵里奈「高屋くん。この前休んでたから心配しちゃった。大丈夫?」
高屋の前でぶりっ子しながら話している。
あかね「出た!勘違いお嬢様」
奈津の耳元でボソッと言った
恵里奈「この前の授業の内容。ノートに書いておいたの。よかったら使って」
高屋にノートを渡す
高屋「おーサンキュー。助かるよ」
恵里奈が書いたノートを広げて見ながら言った
あかね「お!やるな。お嬢様」
奈津は高屋をまともに見れず。
作り笑いをするしかなかった。
体育授業。
男子がサッカーをしている。
見学している女子達は、高屋と長谷部に夢中になってキャ〜キャ〜言ってる。
ピピー。先生が笛を鳴らし試合終了合図
高屋と長谷部がハイタッチしながら勝利を喜んでいる。
高屋が奈津に向かって歩き始めたが。
恵里奈「高屋く〜ん。はい。タオル」
高屋の前に立ちタオルを渡した。
高屋「お。ありがとう」
恵里奈から借りたタオルで汗を拭く。
あかね「随分、積極的だね〜お嬢様は」
奈津は、高屋と恵里奈が話しているのをただ見ていた。
奈津(私も、あんな風に積極的になったら高屋はどう思うんだろ…)
そう心の中で呟いた瞬間顔が熱くなった。
あかね「奈津?どうしたの?」
奈津「え。何でもないよ」動揺していた。
あかね「なんか、今日の奈津。変」
奈津「そ…そうかな。いつも通りだよ」
あかね「ふ〜ん。ならいいけど」
ジャージのポケットに手を入れながら歩き出す
授業が終わり、帰り支度をする奈津。
あかね「奈津。ちょっと寄り道しない?」
奈津「ん。」気のない返事をした。
あかねと奈津は学校と駅の間にあるファミレスに入った。
あかね「ここの新作パフェ食べたかったんだ」
メニューを見ながら嬉しそうにしている
あかねと奈津は同じパフェを注文した。
イチゴとクリームが合わさり綺麗に盛られている。2人は食べ始める。
あかね「美味しいね」
奈津「うん。美味しい」
2人はニコニコしながら食べる。
奈津の笑顔が消える。
奈津「あかね…私ね…友達が怖いんだ」
あかね「奈津…」少し沈黙になる
奈津「私…中学の時、友達いたんだけど、ずっといじめられてた。いつも3人の子達に連れられて、嫌がらせを毎日。その子達はいつも私に言ったの。私達、友達でしょ?って」
奈津の記憶が蘇る
あかねは、黙って奈津の話を聞いた
奈津「あかね達と一緒にいると、楽しくて。
このままずっと続くといいのに。って思えば思うほど怖くて。どうしていいかわからない」
あかね「奈津…」奈津の手を優しく両手で握った。
奈津はあかねの手を握り返した。
あかね「奈津?知ってる?友達って作るものじゃないんだよ」
奈津は目を丸くした。
あかね「友達はできるものなんだよ。」
奈津に微笑んだ。
奈津も目に涙をためて笑顔を取り戻す。