君に届けた春風
あかねと奈津は仲直りした。
その様子をこっそり長谷部と高屋は聞いていた
放課後。奈津は教室で1人日直日誌を書いていた
恵里奈「水月さん。あなたって本当バカね。
あなたは、高屋くんにも藤野さんにも騙されてるのも知らないで。」
奈津の側で見下した目で睨んでいる
奈津「なんで?なんでそんな事言うの?」
奈津は恵里奈を睨み返した
恵里奈「だって。私。あなたの事嫌いだから」
嫌なにやけ顏。
奈津「あかねも高屋もそんな人じゃないよ」
恵里奈「どうかしら?本当はあなたの事、友達だ。なんて思ってないわよ。ただ、1人でいるのがかわいそうだから、仕方なく一緒にいるだけよ!」
髪の毛をクルクルいじりながら言った
奈津「それでも…いい!無理に友達だと思われなくても、私はあかねも高屋も長谷部も信じてるから。私は、あかねも高屋も長谷部も大好きだから!加賀澤さんにあかね達の悪口言われる筋合いない!」
強い目力で恵里奈を睨みつけた。
恵里奈「ふんっ!バカじゃないの?ムキになって。まぁいいわ。ただし。高屋くんは、この恵里奈サマとお付き合いするんだから、あなたは高屋くんと仲良くしないで。高屋くんがかわいそうだから。」
くるっと回って奈津に背を向け教室から出て行った。
奈津は腰を抜かし席に座った。
高屋「水月。?」
高屋が教室から入って、奈津の机に腕を置きかがんで微笑む
高屋「よく…言った。強くなったな。」
嬉しそうな顏で奈津の頭を撫でた
奈津は顔が赤く、照れている
奈津「ん?高屋。いつからいたの?」
高屋「オレ達の事が大好きだ!ってとこから。そこで聞いてた」ドアの方を指差した。
高屋「てか、まだ日誌終わらないの?」
奈津「あ〜。もう終わるとこだよ」
高屋「そっかぁ。ご苦労さん」
「じゃあな。」と。手を挙げ高屋が帰っていく。
奈津は慌てて日誌を職員室に持って行き、高屋を追いかけるように急いで下駄箱に行った。
しかし、高屋はいない。
奈津は靴を履き替えて、正門の方を見ると、高屋が正門に向かって歩いていた。
奈津は走って高屋に追いつき、高屋の後ろから服の裾を引っ張る。
高屋はドキッとして、立ち止まる。
奈津「あの…一緒に…帰って下さい…」
高屋はふっと笑みをこぼし、自分の服の裾を持ってる奈津の手を取り振り返る
高屋「しょうがねぇな〜。俺と一緒に帰ると高いよ〜」と。奈津の顔を覗き込み笑う。
奈津も高屋の笑顔につられて笑った。
高屋と奈津は駅で別れた。2人が乗る電車は逆方向。奈津は上り側。高屋は下り側だった。
改札入ったとこで2人は向かい合う。
高屋「じゃあな。気を付けて帰れよ」
奈津「うん。高屋もね。…ありがとう。一緒に帰ってくれて」
高屋「水月。今度の土曜日…ヒマ?」
奈津「特に用事ないけど…」
高屋「じゃあ…ちょっと、つきあってくれる?」
奈津はドキッとした。少し間を置いて頷いた
高屋「じゃあ、土曜日。11時にここな?」
そう約束して別れた。