月夜の葉桜
「お待たせしました」という言葉と共に、再度襖が開き先ほど注文した飲み物が届く。

2合の冷酒と冷酒杯3つが目の前に置かれる。3つもいらなかったな。どうせ飲むのは私だけだろうし。

「注ぎますよ」と目の前に座るボサボサくんがカラフェに手を添えるがやんわりと断る。

ボサボサくんって言うのは、私がつけたあだ名。もちろん本人には口が裂けても言えないが。
ロン毛とも言えないなんともボサッとした髪型だから、単純明快にボサボサくん。

カラフェに手を添え、冷酒杯に注ぐ。

早く終わらないかな…
そんな気持ちをかき消すように、冷酒を飲み続ける。

つまり、今日の合コンは大ハズレだったってことだ。

私だけではない。
幹事のマナも、この場で初めて合った知らないゆるふわ子(これも私がつけた)も、たぶん相手の男性陣もそう思っているはずだ。

でなければ、日本酒を1人で飲み続ける女なんて場が白けるだけだろう。

そんなことは分かっているが、このシラけた空気を打破するべく飲み続ける。せめて楽しい気持ちになるように。
それ以外にこの空気をあと1時間乗り切る策が見つからないのだ。
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