【短編】最後に言わせて



「なんか、あった?」


足を止めると


俯いたままのあたしの視線に

あたしの顔を覗き込むようにかがむ


彼の膝が目に入った




こぶしにぎゅっと力を入れる





「あのね」


唇をきゅっと噛みしめたまま


勢いよく顔をあげたあたしに目の前で驚いた顔をしつつも


無言で頷いた彼にあたしは口を開いた



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