君が言ったんだ。




先月の始め、母が死んだ。


その日はやっぱり雨だった。


育てていた花に蕾ができたと喜んだ夕方のこと。


トラックの横転事故に巻き込まれて母が死んだ。


そこまでの怪我じゃなかったのに、死んだ。


涙は少しもでなかった。



死体も見なかった。





ただ、私の代わりに雨はひたすら しとしと 泣いていた。









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