海月物語。
 海斗は、水族館に出勤した。
「おう!!昨日の女の子、どした?」
上司が海斗に話しかけた。
「上司、明日から有給2日くらい頂けませんか。私の仕事は同僚に引き継ぐので。」
海斗は真面目な面で頭を下げる。
「急には困るな。でも、まあいいだろう。」
上司は渋々受け入れた。
 夕方、海斗は病院を訪ねる。来海を担当する医師から呼び出された。
「つれて帰っていいですよ。ただし、2、3日絶対安静を心掛けてください。」
「わかりました。」
海斗は、医師の元を離れ、来海の病室へと向かった。
 来海はベッドの背もたれをあげて横になり、起きていた。
「来海ちゃん。帰っていいって先生が。」
来海は起き上がり、少量の荷物をまとめる。来海が一人先走り、病室を出ようとするので、海斗は、手で来海の肩を軽く叩いた。
「送るよ。」
海斗は、来海の小さなバッグを取り上げる。
「返して。」
来海がバッグを奪え変えそうとするが、小柄なせいか、届かない。
「無事に家に着いたら返してやる。」
海斗は、ニヤリと笑った。
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