冷酷上司の甘いささやき
とはいえ、別に隠すようなことでもないので。

「はい、そうです。今の電話では同窓会に誰が来るのかは聞かなかったのでその人が来るかどうかはわかりませんが、こういうのに参加するのは結構好きなタイプの人だったので、予定が合えばおそらく来ると思います」

「へえ」

「元カレと言っても、数ヶ月で別れちゃったのでそんなに特別な思い出とかはないですよ?」

「なんで別れたの?」

「自分で言うのもあれなんですけど……その人、私と常にいっしょにいたいって思ってくれるタイプの人だったんです。ひとりの時間が全然作れなくて、私がそれを窮屈に感じてしまって……」

「そう」

ぼそっとそう呟くと、課長は再び私に抱きついた。今度は正面から。

「かちょ……?」

「俺は? なんやかんやで俺ら、ここしばらく、いっしょにいることすごい多いけど?」

甘い声なのに、どこか切なげにそう言われると、また胸がきゅんとする。


確かに課長の言う通り、私たちはここ最近、”普通の恋人”みたいに、もしかしたらそれ以上にいっしょにいる時間が多い。

今日みたいに、仕事が終わったあとにどちらかの家で夜までいっしょに過ごしたり、どちらかの家で泊まったりすることも少なくないし、土日はいっしょに過ごすことの方が多い。



でも、それはもちろん、無理をしているわけじゃない。だって、課長といっしょにいるのは……



「か、課長のことが、好きだからですよ……」
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