冷酷上司の甘いささやき
私がそう言うと、課長は私から少し体を離して……にっこりと笑った。
彼女になってからもあまり見ることのない、わかりやすくうれしそうな、満面の笑み。
そんな顔されたら、ドキドキしないわけがないです!


そのまま自然と唇を重ねると、またドキドキして、だけど幸せな気持ちでいっぱいになる。



阿部さんともこれからもっとうまくやっていけそうだし、課長とも仲良くしてるし、同窓会も楽しみだし、あぁ、なんか楽しいことばかりで幸せだなー……。





そして、土曜日。

「じゃ、行ってきますね」

玄関で靴を履き、振り返りながら私は課長にそう言った。

同窓会は、夜の八時から。なので、それまでは課長の家でいっしょに映画のDVDを観たりして過ごしていた。



「いってら」

課長は玄関先で、私にひらりと右手を振った。
私も右手を振り返し、駅へと向かった。




指定された居酒屋さんの最寄り駅の改札前でマイちゃんと待ち合わせをし、そこからふたりでお店へ歩いていった。


「おー、久しぶりー!」

幹事の人の名前を言って店の中へ入ると、すでに何人かが出来上がった状態で私とマイちゃんを迎えてくれた。
そこにいたのは泉くん、林くん、京介の三人だった。この三人同士は大学時代からいつもすごく仲がよかったし、たぶん全体の集合時間より少し早く来て、先に三人で飲んでたんだろうな。



「久しぶりー。みんな元気?」

「由依―。久々すぎるなー。こっち来いよー」
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