冷酷上司の甘いささやき
「はは」

あのころと変わらない、林くんの明るさに引っ張られ、私は自然と林くんのとなりの座布団に腰を降ろした。
マイちゃん以外のサークルのみんなに会うのは本当に久しぶりで少し緊張していたけど、変わらない林くんのおかげで、その緊張が少し和らいだ気がした。


……でも、ななめ前に座っていた京介とバチッと目が合った瞬間、私は、やっぱり少しだけ、緊張してしまった。



--大島 京介(おおしま きょうすけ)。同学年で、サークルがいっしょで、そして……私の元カレ。


といっても、彼氏彼女だった期間は短いものだった。期間でいうと三ヶ月くらいだ。


京介とは、サークルの部室で初めて顔を合わせて、割とすぐに仲良くなった。
笑うと顔がくしゃっとなるところとかかわいいなと思ったし、誰に対しても気配り上手なところに、たぶん、特別な感情も持ってた。

そんなふうに京介のことが少し気になっていたころ、京介に何度かデートに誘われて、そして何度目かのデートの帰り道に告白された。

高校時代、男の子から告白されたことは何度かはあったけど、当時から恋愛に疎かった私は、それをすべて断っていた。
大学生になってからも、恋愛に対して興味や関心が特別出てきたわけじゃなかった。

でも、京介とならって。
京介のことが気になっていたのはたしかで、告白されてすごくうれしかったし。
だから、京介となら、付き合ったら楽しいかもって思った。付き合っていくなかでもっともっと彼のことを好きになっていけるかもと思った。
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