冷酷上司の甘いささやき
だから、『今は京介のこと、気になってる。これから好きになってもいい?』と、その時の自分の気持ちをそのまま京介に伝えて、私と京介は付き合うようになった。

そう考えると、京介と付き合い始めた時の自分の気持ちは、課長と付き合い始めた時の自分の気持ちと似ていたかもしれない。


でも、京介とはすぐに別れちゃったんだよね……。まあ、私が悪かったんだけど……。いつでもそばにいたいと思ってくれていた京介の気持ちに、自分の気持ちが結局ついていかなくて、京介を重いと感じてしまって……別れてしまった。



その後も、友だちの紹介とかで何人かとお付き合いをしたことはあったけど、結局同じような理由で別れてしまっていた。



今は大丈夫だけどね。課長のこと、大好きだし。




そんなわけで、京介と目が合った瞬間、思わず体が固まってしまった。決して、別れてから一度も口聞いていないとかじゃなく、サークルで何度も顔を合わすうちに、別れたあとの気まずさも小さくなっていき、別れてから数ヶ月経つころには前と同じように接することができていたんだけど。


そんなことを思いながら、私がたぶん、困った顔をしていたら。



「ほんと久しぶりだなー由依」

私に気を遣ってくれたのか、京介の方から明るく話しかけてくれた。声色も明るい。私はなんだかホッとした。


「う、うん! 京介も久しぶりー!」

その後すぐに、ほかのメンバーも続々と店に到着し、みんなでワイワイと盛り上がりながら、和やかに楽しく飲み会は進んでいった。
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