冷酷上司の甘いささやき
課長のいろんな顔
「仕事はできるようになってきたんですけど、最近ややワガママじゃないですか?」
ある日、日野さんが仕事中、私にこっそりそう言ってきた。
「え、私?」
「違いますよ、なんでですか。阿部さんのことです」
ああ、と思わず頷いてしまう。
たしかに、阿部さんは最近は仕事はよくがんばってくれている。そして、仕事と環境に慣れてきたのもあって、思ったことをはっきり言うようになってきた。でも、それが場合によってはワガママにも聞こえることもある……。日野さんはそのことを言っているのだろう。
「さっきなんて、新品の伝票を早めに頼んでおいてね、って私が言ったら、『それ、私がやらなきゃいけない仕事じゃないですよね?』って言ってきたんですよ。そりゃそうですけども」
「あはは、それはまあそうだね」
「この間も、『一週間ミスがゼロだったから有休ください』って言ってきましたよ。なめてんのかって思いました」
「はは。私たちが背中で示していこう」
私がそう答えると、日野さんは少し首を傾げた。
「戸田さんって、怒らなくてすごいですね。私よりも阿部さんといる時間長いんだから、阿部さんのワガママにイライラすることだって、もっとあるんじゃないですか?」
「いや、怒らないことないよ。現に、私がすごい怒って、阿部さんが仕事休んじゃったことあったじゃん」
「でも、最近は全然怒らないじゃないですか。なんでですか?」
ある日、日野さんが仕事中、私にこっそりそう言ってきた。
「え、私?」
「違いますよ、なんでですか。阿部さんのことです」
ああ、と思わず頷いてしまう。
たしかに、阿部さんは最近は仕事はよくがんばってくれている。そして、仕事と環境に慣れてきたのもあって、思ったことをはっきり言うようになってきた。でも、それが場合によってはワガママにも聞こえることもある……。日野さんはそのことを言っているのだろう。
「さっきなんて、新品の伝票を早めに頼んでおいてね、って私が言ったら、『それ、私がやらなきゃいけない仕事じゃないですよね?』って言ってきたんですよ。そりゃそうですけども」
「あはは、それはまあそうだね」
「この間も、『一週間ミスがゼロだったから有休ください』って言ってきましたよ。なめてんのかって思いました」
「はは。私たちが背中で示していこう」
私がそう答えると、日野さんは少し首を傾げた。
「戸田さんって、怒らなくてすごいですね。私よりも阿部さんといる時間長いんだから、阿部さんのワガママにイライラすることだって、もっとあるんじゃないですか?」
「いや、怒らないことないよ。現に、私がすごい怒って、阿部さんが仕事休んじゃったことあったじゃん」
「でも、最近は全然怒らないじゃないですか。なんでですか?」