冷酷上司の甘いささやき
私と阿部さんは、ほかの社員さんたちと同じくらいの時間に営業室を出て、更衣室で着替えを済ませるといっしょに会社をあとにした。
最初の予定では、私の家の最寄りのスーパーで夜ご飯を買って、それを私の家で食べながらいろいろ話そう、ということだったんだけど、私の家の最寄り駅まで電車に揺られる中で、阿部さんが突然、「ピザ屋さんでピザが食べたい」と言い出すので、会社から三駅目にある有名なピザ屋さんで夕ご飯を済ませてから私の家に向かうことになった。
阿部さんは、「終電までには帰りますんで」と言っていた。ひとり好きの私は、むしろ「終電近くまで家にいるの!?」とも思ってしまった……というのも本音だけど、私の性格上、すぐに本題を切り出すのは不可能だ。なら、終電の頃までたっぷりと時間があった方が、確実に本題を話しだせるかもしれない、とも思った。
ちなみに、ピザ屋さんで話してしまおうかな……とも思ったけど、有名なピザ店は、予約なしで入れたのがラッキーなくらいに混んでいて、とても本題を話せそうな雰囲気ではなかった。
やっぱり本題は家で話そう、そう思いながら、私は阿部さんといっしょに二十一時頃ピザ屋さんをあとにした。これから家に帰っても、阿部さんの終電近くまで二時間以上はあるはず。それだけ時間があれば、いくら私でも本題を切り出せるだろう。
そんなことを思いながら、家まで到着した。
私の部屋は、二階建てのアパートの、二階の一番奥の部屋だ。階段をのぼろうと手すりに手をかけた――その時だった。
最初の予定では、私の家の最寄りのスーパーで夜ご飯を買って、それを私の家で食べながらいろいろ話そう、ということだったんだけど、私の家の最寄り駅まで電車に揺られる中で、阿部さんが突然、「ピザ屋さんでピザが食べたい」と言い出すので、会社から三駅目にある有名なピザ屋さんで夕ご飯を済ませてから私の家に向かうことになった。
阿部さんは、「終電までには帰りますんで」と言っていた。ひとり好きの私は、むしろ「終電近くまで家にいるの!?」とも思ってしまった……というのも本音だけど、私の性格上、すぐに本題を切り出すのは不可能だ。なら、終電の頃までたっぷりと時間があった方が、確実に本題を話しだせるかもしれない、とも思った。
ちなみに、ピザ屋さんで話してしまおうかな……とも思ったけど、有名なピザ店は、予約なしで入れたのがラッキーなくらいに混んでいて、とても本題を話せそうな雰囲気ではなかった。
やっぱり本題は家で話そう、そう思いながら、私は阿部さんといっしょに二十一時頃ピザ屋さんをあとにした。これから家に帰っても、阿部さんの終電近くまで二時間以上はあるはず。それだけ時間があれば、いくら私でも本題を切り出せるだろう。
そんなことを思いながら、家まで到着した。
私の部屋は、二階建てのアパートの、二階の一番奥の部屋だ。階段をのぼろうと手すりに手をかけた――その時だった。