冷酷上司の甘いささやき
課長は珍しく、そんな冗談を言った。


そうか、私が思っていたほど、みんな重く受け止めていなかったんだ。
なのに、私は阿部さんにあんな言い方を……。罪悪感がますます大きくなる。


それなのに、課長が言ってくれた『ありがとな』という言葉にドキドキしてしまっている私は、なんて最低なんだろう。
そう思うのに、課長ともっと話していたい、アパートに着きたくない、とどうしても思ってしまう……。


だけど、そう思っていたからか、アパートまであっという間に着いてしまった。



「お、送っていただきありがとうございました」

本当は、まだ帰りたくない。まだ別れたくない。まだ話していたい。そう思ってしまう。明日も会社で会えるのに。



すると課長は、「うん、じゃあ」と短い別れのあいさつをしてくれた。



……でも。


「課長……?」

課長は、じ、っと私の顔を見つめたまま、なぜかその場から動かない。不思議に思い、私も課長を見つめ返すと。


「……戸田さん」

「はい?」

「……俺ら、付き合わない?」


……はい⁉︎
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