冷酷上司の甘いささやき
結局、なんの解決策も思い浮かばないまま業務時間が終了してしまった。
明日は土曜日。月曜日には、阿部さん来てくれるといいけど……。
課長とは、今日一日、とくになにもなかった。
課長は今日、取引先への訪問が続いていたみたいであまり営業室にいなかった。
だから、阿部さんのことで頭がいっぱいになりかけている今、課長のことをあまり意識しないで済んだのはよかったかも……。付き合うことになった相手に対して、『意識しないで済んでよかった』なんて失礼かもしれないけど……。
「お先に失礼します。お疲れさまでした」
仕事を終え、まだ仕事を続けている営業さんや部長にあいさつをして、私は営業室を出て廊下に出た。
課長はいなかった。訪問は終わってさっき営業室に戻ってきているのはちらっと見たんだけどな。どこか行ってるのかな。まあいいか、営業室にいたところでゆっくり話したりするわけじゃないし。
「はあ……」
ひとりになると、なんとなくため息がこぼれる。
阿部さんへの申しわけなさとか、自分の不甲斐なさとか、なにより月曜日からは阿部さんはちゃんと出勤してくれるかっていう不安とか。
そんなことを考えながらとぼとぼと更衣室へ続く階段を降りていくと、課長が逆側から階段をのぼってきた。
そして、目が合った。
ま、まさかこんなところで会うとは。
今日はもう会わないと思っていたから、突然の出来事に、しかも辺りには誰もいなくてふたりきりというこの状況に、私は少し戸惑う。
明日は土曜日。月曜日には、阿部さん来てくれるといいけど……。
課長とは、今日一日、とくになにもなかった。
課長は今日、取引先への訪問が続いていたみたいであまり営業室にいなかった。
だから、阿部さんのことで頭がいっぱいになりかけている今、課長のことをあまり意識しないで済んだのはよかったかも……。付き合うことになった相手に対して、『意識しないで済んでよかった』なんて失礼かもしれないけど……。
「お先に失礼します。お疲れさまでした」
仕事を終え、まだ仕事を続けている営業さんや部長にあいさつをして、私は営業室を出て廊下に出た。
課長はいなかった。訪問は終わってさっき営業室に戻ってきているのはちらっと見たんだけどな。どこか行ってるのかな。まあいいか、営業室にいたところでゆっくり話したりするわけじゃないし。
「はあ……」
ひとりになると、なんとなくため息がこぼれる。
阿部さんへの申しわけなさとか、自分の不甲斐なさとか、なにより月曜日からは阿部さんはちゃんと出勤してくれるかっていう不安とか。
そんなことを考えながらとぼとぼと更衣室へ続く階段を降りていくと、課長が逆側から階段をのぼってきた。
そして、目が合った。
ま、まさかこんなところで会うとは。
今日はもう会わないと思っていたから、突然の出来事に、しかも辺りには誰もいなくてふたりきりというこの状況に、私は少し戸惑う。