冷酷上司の甘いささやき
課長の意外なやさしさ
「ありがとうございましたー」
いつも通り、窓口で通常業務についていると、うしろの席から日野さんと営業課長が話しているのが聞こえてきた。
その会話が、ただの雑談とかではなく、なにやら少し揉めている? 感じだったので、私はお客さんを見送ってから、ふとうしろを振り向いた。
「私ひとりじゃこの量は無理です……」
「ひとりじゃなくていいから、誰かに頼んで小分けにしてやって」
「でも、今日は繁忙日でみなさん忙しいですから……」
「いや、やってくれないとこっちも困るから」
なにやら、課長が日野さんに仕事を頼んでいるけど、日野さんがそれを断っているっぽかった。
私は慌てて、窓口から身を乗り出し、ふたりの間に入る。
「あのっ、私、手伝えますので!」
日野さんがなんの仕事を頼まれているのかもよくわかっていなかったけど、私は課長と日野さんにそう伝えた。
日野さんは、自分の仕事にいっぱいいっぱいになっていると、頼まれた仕事を断ってしまうことがある。ひとりで抱えこめとはもちろん言わないけど、そんな風に断ったら、課長が困ってしまうじゃないか。
すると課長は、B5サイズの一覧用紙を三十枚ほど私に手渡し、
「それの内容、ディスクに打ちこんで。明日の自動振込のデータなんだけど、明日の朝一でシステム部に持ってかないといけないやつだから、今日の帰りまでにはやって。確認は俺がするから」
と、無表情でさらっと言った。
いつも通り、窓口で通常業務についていると、うしろの席から日野さんと営業課長が話しているのが聞こえてきた。
その会話が、ただの雑談とかではなく、なにやら少し揉めている? 感じだったので、私はお客さんを見送ってから、ふとうしろを振り向いた。
「私ひとりじゃこの量は無理です……」
「ひとりじゃなくていいから、誰かに頼んで小分けにしてやって」
「でも、今日は繁忙日でみなさん忙しいですから……」
「いや、やってくれないとこっちも困るから」
なにやら、課長が日野さんに仕事を頼んでいるけど、日野さんがそれを断っているっぽかった。
私は慌てて、窓口から身を乗り出し、ふたりの間に入る。
「あのっ、私、手伝えますので!」
日野さんがなんの仕事を頼まれているのかもよくわかっていなかったけど、私は課長と日野さんにそう伝えた。
日野さんは、自分の仕事にいっぱいいっぱいになっていると、頼まれた仕事を断ってしまうことがある。ひとりで抱えこめとはもちろん言わないけど、そんな風に断ったら、課長が困ってしまうじゃないか。
すると課長は、B5サイズの一覧用紙を三十枚ほど私に手渡し、
「それの内容、ディスクに打ちこんで。明日の自動振込のデータなんだけど、明日の朝一でシステム部に持ってかないといけないやつだから、今日の帰りまでにはやって。確認は俺がするから」
と、無表情でさらっと言った。