冷酷上司の甘いささやき
課長が、私には見せたことのない笑顔を阿部さんに見せていたことが頭から離れない。
黒い塊が、またどんどん膨らんでいく。
「そりゃぁ、係の希望は私たちだって聞いてもらえることはありますよ。でも、入社したばっかりの新入社員が、ちょっと怒られたくらいで係替えとか普通ないですよね!」
昼休み。食堂でカレーを勢いよく食べながら日野さんが不満そうに言う。
「うん、でも私のせいでもあるよね。ごめんね、事務課の人員減らしちゃって」
「そんなの戸田さんのせいじゃないですよ!
ていうか、阿部さんも阿部さんですが、部長も部長ですよね。戸田さん、なんで部長が阿部さんの無茶苦茶な係替えの希望をあっさり承諾したか知ってますか?」
「え、なんで?」
「阿部さん、本部の役員の方の親戚らしいんですよ。姪だったかな。
部長も木曜日までは知らなかったらしいんですけど、金曜日に阿部さんがいきなり欠勤したのが本部の方の耳に入り、部長に文句言いに来たらしいんです。本部の人、怖いですからねぇ。部長も逆らえなかったんだと思います」
「そ、そんなことがあったの!? 私聞いてないけど!」
「まあ阿部さんにも悪いところがあったのは部長もよくわかっていますし、部長も戸田さんにも気をつかってくれたってことかもしれませんが……でもやっぱり許せないです! 営業課ですよ、営業課! 男性がいっぱいいるじゃないですか! うらやましい!」
「え、怒ってるポイントそこだったの!?」
黒い塊が、またどんどん膨らんでいく。
「そりゃぁ、係の希望は私たちだって聞いてもらえることはありますよ。でも、入社したばっかりの新入社員が、ちょっと怒られたくらいで係替えとか普通ないですよね!」
昼休み。食堂でカレーを勢いよく食べながら日野さんが不満そうに言う。
「うん、でも私のせいでもあるよね。ごめんね、事務課の人員減らしちゃって」
「そんなの戸田さんのせいじゃないですよ!
ていうか、阿部さんも阿部さんですが、部長も部長ですよね。戸田さん、なんで部長が阿部さんの無茶苦茶な係替えの希望をあっさり承諾したか知ってますか?」
「え、なんで?」
「阿部さん、本部の役員の方の親戚らしいんですよ。姪だったかな。
部長も木曜日までは知らなかったらしいんですけど、金曜日に阿部さんがいきなり欠勤したのが本部の方の耳に入り、部長に文句言いに来たらしいんです。本部の人、怖いですからねぇ。部長も逆らえなかったんだと思います」
「そ、そんなことがあったの!? 私聞いてないけど!」
「まあ阿部さんにも悪いところがあったのは部長もよくわかっていますし、部長も戸田さんにも気をつかってくれたってことかもしれませんが……でもやっぱり許せないです! 営業課ですよ、営業課! 男性がいっぱいいるじゃないですか! うらやましい!」
「え、怒ってるポイントそこだったの!?」