冷酷上司の甘いささやき
そんな気持ちで入ったサークルだったけど、実際は割と楽しかった。
部員数はそんなに多くなかったし、上下関係もとくに厳しくなかったから人間関係も気楽だった。
私みたいに「歴史が大好きというわけではないけど、なんとなく入部した」という人も結構いたから、歴史に対しては一般知識レベルしかない私でも居心地は悪くなかった。

歴史サークルと言っても、部室に集まって歴史について語ったりする人はごく一部で、私みたいな部員は、それをなんとなく聞いていたり、部室の本棚にある歴史関係の本を読んだり、まったりとした時間を過ごしていた。



そして今、その歴史サークルに入部していた同級生たち数人で今度の土曜日に集まってみんなで飲もう、というお誘いをマイちゃんから受けていた。


飲み会はあまり好きな方ではない、という理由で、今までの私だったらもしかしたら断ってしまっていたかもしれない。
でも、最近はいろんな人とかかわるのも悪くないと思える。いろんな人とかかわることで、なんとなく自分もいい方向に変わっていけるような気がして。

マイちゃんとは卒業してからもたまに会ったり遊んだりしていたけど、ほかの部員の人たちとは卒業後はほとんど会っていなかったし……。


私がマイちゃんに、同窓会に参加することを伝えると、マイちゃんは集合時間と集合場所などを教えてくれた。



「うん、うん。じゃあ、楽しみにしてるね。また土曜日に」
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