恋吹雪
「あー!!!今日早く帰んないといけなかったんだった!病院行くの忘れてた!」
「うそっ!」
「ごめんね!走って帰んなきゃ!バイバイ!」
「バイバイ」
急がなきゃ。
優に追いつくかな・・・?
きっとビショビショだよね?
あたしは無我夢中で一生懸命走った。
「ハァハァハァッ・・・・」
追いつかない!優が200メートル位先の方にいるのが見えた!
「行かないでー」
そっと呟いた。
優はこっからでもすぐわかった。
すごい濡れていた。髪の毛だってお風呂入ったみたいだったもん。
「ゆーうー」
大きな声で言ったけど優は走り出してしまった。
どんどん遠ざかっていく・・・・。
傘──渡したかったよ。
あたしは体力の限界で
あなたを追うことが出来なかった
ただ呆然と優を見つめることしか出来なかった。
なんでもっと走れなかったんだろう・・・・?
「ハァハァハァッ・・・・ゅう」
ザァァァァ
「雨スゴいね?」
結局あたしも濡れちゃったんだ。
急いで走ったから。
髪の毛・・・優と一緒だぁ。
ビショビショ──。
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