宿命(仮)
エピローグ
一人暮らし
あたしは昔から掃除が苦手だ。
片付けても片付けても
すぐ机の上がごちゃごちゃに
なってしまう。
最近は諦めて片付ける気も
しなくなりしばらく
汚い状況が続いていたのだが
今日ばかりはしっかり
片付けなければならない。
「愛依(めい)、さっきから
まったく変わってないやん!
こんなんで1人暮らしなんて
母さん心配やわ…」
そう言うと母さんは
4、5年前から使っている
赤のギンガムチェックの
エプロンを外してあたしの
机の椅子にかけると
足元に散らばっている雑誌類を
手にとって片付け始めた。
そう、
あたしはあと3日ほどで
この生まれ育った
家を出て行くのだ。