宿命(仮)
「蓮谷さんって優しいとこあんねんや。」

何そのまるであたしが性格悪いみたいな言い方は。

「そうかな?さっきのは思ったより声が出ちゃっただけ。事故やって。事故。」

さっきの家庭基礎の授業を思い出す。

あたしはやっと書き終えた日誌を閉じた。

「そっか、事故かあ。俺、蓮谷さんに嫌われたんかと思ったわ。」

「そんなことで嫌いにはならへんよ。それより、佐倉くん何しに来たん?」

「あ、そや、俺弁当箱忘れてたんや。」

佐倉はぱっと机の横の水色の袋を取った。



< 44 / 56 >

この作品をシェア

pagetop