Love game

印象

カーテンが揺れ、入ってきた爽やかな風が頬をかすめる。

まだ夢見心地で、ベッドの上で寝返りを打つ。

開きかけた瞼を再び閉じた時。
それを阻止するかのように、“目覚まし”が大音量で鳴り出した。


「あ～…うっせ」


もう一度寝返りを打ち、手探りで“目覚まし”を探す。

寝起きの俺の手は、数回頭の上を虚しく空振りしたあと、ようやくたどり着いた。
爆音を鳴らす、黒いスマホに。

うっすらと目に入った通話ボタンをタッチし、不機嫌丸出しの声で電話に出た。


「朝っぱらからうっせーな、お前は！」


電話越しに怒鳴ると、相手は更に不機嫌そうに怒鳴り返した。


『うっせーな、じゃねーんだよ！ お前が早く起きれば毎朝こんなことしなくて済むんだっつーの！』


どうやら、“目覚まし”——ではなく、友人の「賢（ケン）」は、相当ご立腹の様子だ。


「俺疲れてんだよ～でけぇ声出すなって」

『ぁあ？ でけぇ声出させてんのはお前。分かったら早く学校来い！』

「なんだ、俺がいなきゃ寂しいか」