Love game
「…サボリかよ」
頭の下に両手を入れ、聞こえるくらいの音量で呟く。
「──は?」
歩がこちらに向かって冷たく一言。
丁度カーテンの隙間から見える位置にある椅子に座っていたため、姿がはっきりと分かった。
「どーしたん?」
「………」
「シカトこいてんじゃねーよっ」
半開きのカーテンを開け、ベッドから降りる。
歩は俺の存在すら見なかったかのように、脚を出して丸椅子に座っている。
膝から血が出ていた。
「…コケたのか?」
「………」
「だからシカトすんな!」
どこまでも俺を無視し続ける歩の頭の上で怒鳴る。
「っさいな。アンタに関係ない」
ムカつく…。
そろそろ本気でキレんぞ。
ブツブツと心の中で唱えていると、歩は傷もそのままに立ち上がり出ていこうとした。
「あ、おいっ」
思わず引き止める俺。
「…なんの用」
「傷!」
「別にいい」
「よくねぇ。女なんだから手当てくらいしろよ」
なぜか必死になっている自分がバカみたいだけど。