Love game



「俺はコンピュータじゃなくて賢と対戦してーの!」




そんな感じでくだらないことを言い合いながら賢の家に向かった。




賢の言う通りやっぱりムキになった俺は、納得のいくまでゲームに付き合わせた。



そして賢の親が帰ってくるまで時間が過ぎていることに気が付かなかった。




「あ、俺そろそろ帰るわ」


「奈津くん。もう少しゆっくりしていっても良いのよ?」


「そういうわけにもいかないんで。じゃあお邪魔しました!」




軽く挨拶を交わすと家を出た。



蒸し暑い風を受けながら、いつもより若干長めの帰路についた。



…改めてバイクの大切さを知る。



歩くのもだるくなってきて、横をチャリで通り過ぎるのを恨めしい気持ちで見ていた時。



数十メートル先に、見覚えのある茶髪のセミロングを見つけた。




「…歩?」




うちの学校の制服を着て、スーツを来た若そうな男と歩いていた。


あの後ろ姿、見間違いじゃない。



アイツ男嫌いだろ? なのにどうして──…。



疑問を感じたが、自分の中ですぐに解決した。




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