Love game



確か彼氏いるって言ってたな、と。



やっぱ年上だったんだ。
見た感じ大学生くらい。



まだ付き合ってたのか。



別れて未練があるってのは、俺の勘違いだったってわけ。




解決はした──でも。



俺の中には、何か簡単に答えが見つからないような。


得体の知れない感情が残った。



そして、そいつの隣で楽しそうに笑う歩を見たら。



無性にイライラして。



…マジ面白くねぇ。



このまま走っていって2人の間に割り込もうか…なんてバカな考えが浮かぶ。



だけど思うだけで行動には移せなかった。



“思い立ったら即行動”してきたはずなのに、この時ばかりは足に根が生えたように動けずにいた。




──俺は、ようやく気が付く。



男と一緒にいる歩を見て、これが“嫉妬”ってやつだということに。



今まで無縁だったはずの醜い感情。



こんな形で経験することになるとは思わなかった。



賢が言った言葉の意味も、こんな形で理解するとは思わなかった。




俺、あいつのこと好きになってたのか?




< 52 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop