Love game
数学なら、国語よりはましだとして。
…また親父にどつかれそうだな。
何かと忙しそうにしている竹やんに教えてもらい、ようやく課題プリントを終わらせた。
「東條、飲み込み早いなー」
「まぁね。俺やれば出来る子だから」
「自分で言うか! 古典の渡部先生も困ってたから、ちゃんと授業受けろよ」
「ん〜…竹やんの言うことだしなぁ。日数やばくなったらね」
後ろから聞こえた「もう十分やばいぞ」という言葉に、曖昧な返事をして教室をあとにした。
日は落ちて、薄暗くなった空。
欠伸を噛み殺しながら帰路に着く。
その途中。
「ちょ…放せよ!」
聞き覚えのある強気な声がした。
ついたり消えたりする電灯の下。
そこに2人の男に囲まれた女がいた。
そいつの姿を確認した俺は、
「何してんのー? 俺も混ぜてよ」
嫌がる女の腕を掴む男達に、挑発するような声を投げかけた。
「あ?」
「誰だてめぇ」
「…ただの通行人Aですけど。成功率の低そうなナンパしてんな〜」