私の彼、後ろの彼。


女神は私に近づき、頭を撫でながら教えてくれた。

「あのトンネルに入ると、沢山の審判霊がいます。審判霊たちはあなたが人間界でどのように過ごしてきたかをあなたの守護霊から聞きます。あなたが今までしてきた行いが良いものであれば、天国への入り口が開き、悪いものであれば地獄へ続く入り口が開きます」

「え…、守護霊とはなんですか」

「守護霊は、あなたが人間界にいるときにあなたの身を守ってくれる者です」

「天野君の守護霊は私です」

後ろを振り向くと、女性が立っていた。

私はそのとき初めて守護霊という者の存在を知り、私の守護霊を見た。

20代だったか、30代だったかはまだはっきり分からなかった。

そして、私の守護霊は言った。

「審判霊の前で私たちは嘘をつくことはできません。私が見てきたことをありのままに告げなければならないのです。ですが、天野君はずっと良い子でいました。なので私は胸を張って天野君のことを伝えられます」

女性はニコッと笑った。

「良かったですね。颯零(ソウレイ)さんがそう言うなら安心ですね。きっと天国への入り口が開きましょう」

女神も私を見てニコッとしてくれた。

トンネルへと続く道は白い霧のようなモヤがかかっていて真っ白だったが。

先が見えない道は不安な気持ちになる。

だが、今回は違った。

全く知らない世界に来て、守護霊などと意味の分からない存在を知らされて、地獄へ行くかもしれないトンネルを通らなければならないと分かっていたが、なぜだか心が晴れ渡り、すっきりしていた。

< 13 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop