Live as if you will die tomorrow
「零は、葉月のものじゃないんだから。」
空生はやっと本業に慣れて来た所で、俺としてはこの時期に葉月に煩わせて欲しくない。
表向きルナのメンバーに数えられている空生は、無自覚でオンブラにも貢献している。
あくまで空生にさせるのは、母親への復讐であって、俺はそれに手を貸してやっているーそういうシナリオで物事を進ませているからだ。
だからターゲットは、指定することはあったが、空生が自分で選ぶことも許していた。敢えて境界線は引かずに、適当感を装う為だ。
最初から全てが上手く行ったわけではないが、雑魚と思える所から練習させていって、近頃は見違えるほどに手慣れてきた。
ーやっと、重要人物を任せられるかな。
そう思える。
空生の自由自在な七変化は、崇の友人あってのものでもあったが、他人を装う事への気楽さが、本人の才能をまた一つ、開花させたようで、俺自身別人と思う位、空生はほぼ完璧に、どの役も演じ切った。
当然仕事は増え、女を連れている率は高くなる。
それを見つけると葉月の機嫌も悪くなる。
「ーそんなのわかってる!」
「葉月、いい加減黙って部屋に行ってて。」
ぴしゃりと窘めるように言い、指で行き先を示せば、葉月は不満たらたらな顔のまま、それでも黙って、自室に消えた。