Live as if you will die tomorrow
溜め息一つ。


「ーすみません、お騒がせして。」


リビングのドアを閉めて振り返れば、業者の男が苦笑いで返した。



「さっきの話の続きですけどー」



端の丸まった図面が、また開かれる。


そろそろ、日が傾いてきたのが、窓硝子越しの空の色でわかった。







他人を演じる空生は、愛想の良い人間だった。

欺(だま)された人間は、欺されたことに気付かない。

空生の面の皮だけ信じて、正体を知らないから。



相反するように、ルナでの空生は、感情を露わにしなかった。


人の心の動かし方を知った空生は、ファンやスポンサーになり得る存在を利用する時以外は、以前のまま。


機械をいじる時だけ、唯一素で楽しそうだった。


ただ、あまりに気まぐれな為に、クラブでの予定が組めないのが難点だった。


来たりこなかったり。

遅れてみたり。


この街にさえ、いない時もある。


< 101 / 314 >

この作品をシェア

pagetop