Live as if you will die tomorrow
「ー店、やんの?」
それよりもさらに後ろから、漸く声が掛かって、俺は振り返った。
「店?!」
目の前にいるチャラ男は無視して、その向こうにいる空生を見て頷く。
「そう。」
「ええー!なんでそんなの必要なんだよ!ルナだけで手一杯だし、いいじゃんかよ、ふがっ」
「ーなんで」
距離を縮めた空生に口を塞がれた崇。
それを横目に、俺は笑う。
「大した理由はないよ。ただ、ルナ以外に拠点がもう一個あってもいいかなって思ってさ。」
「ーふーん。」
訊いてきた割に、興味が失せたような相槌を打つ空生。
「…むがっ、はぁっ、で!な、名前は?看板は?!どこ?!」
解放された崇の問いに、今度は俺は店に向き直って、顔を見ないまま答えた。
「Herr.Nomen.Nescio.」
「は?」
「略してHerr.N.Nかな。」
「なんだそりゃ。へるえぬ、えぬ…」
困惑しっ放しの崇。
構わず店に入ろうと、ドアを開いた所で、空生の声が聞こえた。
「名前は無いって。」