Live as if you will die tomorrow
直ぐに止んだのは、静が慌てて起きたからかもしれない。

それとも、静は眠ってなんかおらず、タイミングを合わせようとしたのに、男が勝手に早く外に出てしまったのかもしれない。


別にどっちだって、俺には無関係なことだけど。



「あなた、随分と背が高くなったわねぇ」



舐めるように俺を見て、不敵に微笑む。

脳の足りない奴が見れば、妖艶な空気を読み取るかもしれないが、俺からして見れば、化け物にしか見えない。



ーこの女は、誰にでもこうして媚を売るのか。


虫唾が走る。




「僕より、葉月の所へ顔をだしてやったらいいんじゃないですか。」



「葉月?」



意味がわからないとでもいうように、俺を見る静。




「貴女の娘でしょう。もう何日も会ってないんじゃないですか。」



はっきりと言えば、静は眉を顰めて。




「燈真さんみたいに、男だったら良かったのにねぇ。あの子のせいで、愛想尽かされちゃった。」



垂れる巻き髪に、手を絡ませ、溜め息を吐いた。


その後ろに、ちょうど階段から下りてきた凛子が見える。



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