Live as if you will die tomorrow
数日後。
開店数時間前のルナに、崇が冴えない顔でやってきた。
吸えない煙草を吹かしている。
昔から何か考え事があると、紛らわす為に敢えて苦手な煙草を咥えてみる。本人に自覚があるのかないのか、それが崇の癖だった。後は格好付けたい時にも同じ事をする。典型的な阿呆だ。
煙草が吸えないと気付かれてる事にも、崇は気付いていないようだけど。
「……ん」
いつもとは違い、酒の催促もなく、座ることもない。
ただ、USBを差し出し、俺が受け取るのを待っている。
「何。」
訊けば崇は「頼まれてたヤツ」と短く答えた。
「なんでUSB?」
「データが膨大だったから。」
俺がUSBを受け取ると、崇はじゃあねと身を翻す。
「珍し。報酬は要らないの?」
不思議に思い訊くと。
「そんな気分じゃねぇ。」
振り返る事なくヒラヒラと手を振って出て行ってしまった。